134 / 148

第134話

「はじめまして。 1年間、みんなさんの国語を担当します。 三條遙登です」 完璧アウェーな空気が懐かしい。 あの時は席に座っていた側だが。 教育実習の時は実習生と言うだけで目立ったが、教員として自己紹介をするとシラッとした空気が刺さる。 けど、事前に準備室の先生方から気にすることはない2ヶ月もしたら素を出してなめてくると言われた。 ゴールデンウィークが開けるまでだ、と。 「他の授業でもしていると思いますが、自己紹介をお願いしても良いでしょうか。 あと、好きな本を1冊。 漫画でも小説でも好きな方で。 相川さんからお願いします」 「相川日菜です。 好きな本は…」 漫画、漫画、漫画。 まぁ、漫画だろうなと思っていたが、漫画のタイトルがズラリと並ぶ。 王道の漫画の名前が多いだろうか。 吉田も好きなタイトルは読んだことがあるが、この子達が生まれる前からの連載……というか自分の生まれる前からの連載だったはず。 愛されるものは時間なんて関係ないらしい。 アニメも人気なのも頷ける。 名前の上がったものは目を通しておこう。 その方が話の幅が出来る。 歳が近いから…なんて思っているのはこちらだけで、生徒にとっては若くても大人として見ていた。 自分たちがそうだった。 「ありがとうございました。 では、残りの時間で確認テストをします。 春休みの課題が範囲なので、どこまで覚えているか確認を兼ねて解いてみてください」 配りますね、とプリントを回すとみんな静かに解き始めた。 この空気も懐かしい。

ともだちにシェアしよう!