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第134話
「はじめまして。
1年間、みんなさんの国語を担当します。
三條遙登です」
完璧アウェーな空気が懐かしい。
あの時は席に座っていた側だが。
教育実習の時は実習生と言うだけで目立ったが、教員として自己紹介をするとシラッとした空気が刺さる。
けど、事前に準備室の先生方から気にすることはない2ヶ月もしたら素を出してなめてくると言われた。
ゴールデンウィークが開けるまでだ、と。
「他の授業でもしていると思いますが、自己紹介をお願いしても良いでしょうか。
あと、好きな本を1冊。
漫画でも小説でも好きな方で。
相川さんからお願いします」
「相川日菜です。
好きな本は…」
漫画、漫画、漫画。
まぁ、漫画だろうなと思っていたが、漫画のタイトルがズラリと並ぶ。
王道の漫画の名前が多いだろうか。
吉田も好きなタイトルは読んだことがあるが、この子達が生まれる前からの連載……というか自分の生まれる前からの連載だったはず。
愛されるものは時間なんて関係ないらしい。
アニメも人気なのも頷ける。
名前の上がったものは目を通しておこう。
その方が話の幅が出来る。
歳が近いから…なんて思っているのはこちらだけで、生徒にとっては若くても大人として見ていた。
自分たちがそうだった。
「ありがとうございました。
では、残りの時間で確認テストをします。
春休みの課題が範囲なので、どこまで覚えているか確認を兼ねて解いてみてください」
配りますね、とプリントを回すとみんな静かに解き始めた。
この空気も懐かしい。
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