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第138話
「お疲れ様」
「三条先生、お疲れ様です」
「お疲れ様です」
授業から戻ってきた三条は、先輩教師からの声に丁寧に頭を下げた。
疲れたのだろう。
そういう顔を隠している。
一応は3月からマスクの解禁はされたが、学校のような閉鎖的な場所では学級閉鎖やそれに似たものを避けるためかわらずマスクや手洗いの徹底をしてほしいと朝礼で言われた。
そりゃあ、楽しい青春をこんなことで潰して良いはずがない。
職員たちは楽しんだものを、生徒たちから取り上げるなんておかしな話でしかない。
なので、職員たちは文句もなくマスクをしている。
だが、マスクをしての授業は少し声がこもるので中々ハキハキ喋ることを意識しなければいけない。
まだ感覚の掴めていない三条は手探り状態で、はじめてということを差し引いても大変だろう。
「三条先生もお疲れ様です。
どうでした」
「良い子でした。
テストも頑張ってました」
「三条先生の方ですよ」
「俺、ですか…?」
キョトンとされたが、長岡にとっては三条も元生徒だ。
知りたいと思うのは当然だろう。
ま、詳しいことは帰宅してから聴くが。
「…緊張しました」
「花丸です」
本当に花丸だった。
ご褒美のキャラメルもあるが、まずは水分補給だ。
「三条先生、コーヒーいかがですか。
喋って疲れたでしょう」
「あ、俺にさせてください。
覚えたいです」
「もう僕がしてるんで、次の機会です」
インスタントコーヒーに砂糖を入れ、お湯で溶く。
小さい牛乳は自販機で購入して冷蔵庫に入れておいたので少しだけ少な目に。
三条は次の時間は授業がないのでやっと休める。
それなら、甘い方が良いだろう。
「戻りましたー」
「お疲れ様です」
「三条先生も、お疲れ様です。
はじめての授業っていっても、自己紹介ですけど、どうでした?」
「緊張しました…」
「緊張する余裕があるなら大丈夫ですよ。
長岡先生は見に行ったんですか?」
「えぇ。
言葉になりませんでした」
「羨ましい。
そんな生徒に出会えるなんて、そうそうないですからね」
どうやらみんな気にしていたらしい。
古津も戻ってきて早々に三条と話している。
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