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第144話
「なに食べても美味しいです」
「そりゃ良かった。
沢山食えよ」
まだ気を張っているのか、あの日以降寝落ちることはない。
飯はモリモリ、パンパンに食べている。
日付けが変った頃に寝、朝もきちんと起きている。
大きな変化はない。
大きな変化がないから目が離せない。
兄弟のいる三条は、それを隠すのが上手いから。
引っ掻き傷の生々しい身体を、もう二度と一人にさせたくない。
勝手なエゴだ。
「金曜ならキムチも食えたのにな」
「金曜にもまた牛丼食べますか?」
「飽きねぇのかよ」
「はいっ。
正宗さんが作ってくれた食事、どれも美味しいですから」
「週末は遥登の食いたいもん食おうな」
甘やかしすぎだと笑うが、それで良い。
この世の中に、三条を甘やかせ、三条が甘える人間がどれだけいるか。
その中に自分がいれるんだぞ。
そりゃ、それに甘えるだろ。
「なに食べますか?
両親がホットプレート持たせてくれたので、ホットプレートでなにか焼きますか?」
「ははっ、飯食いながら別の飯の話しか。
わんぱくだな」
それに、こんなことしかしてやれないから。
せめて、この部屋では笑っていられらようにしたい。
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