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第151話
「ただいま」
「おかえり、遥登」
「ただいま」
母は申し訳なさそうに、けど嬉しそうに微笑んだ。
気にすることなんてない。
一人暮らしをはじめた途端に帰宅しなくなった自分にも非がある。
申し訳ないなんて思う理由はない。
綾登の寂しいも本物の感情だ。
それを大人の都合や、道理で押さえ付ける必要はない。
「綾登、手洗お。
あと着替えたい」
「んー…」
嫌だとしがみついてくるのがとても可愛い。
が、手洗いをしないと落ち着かない。
「綾登、遥登にお茶の用意してあげようか。
遥登のカップ用意して、ご飯の席に置こう」
「ごはんも、いっしょ?」
「今日は一緒に寝てくれるんだろ?」
「うん」
渋々離れるとバチャバチャと手洗いをはじめた。
なんだかんだちゃんと手洗い嗽をするから、良い子だ。
その隙にネクタイとジャケットを脱いだ。
そのまま向かうは自室。
早く適当な部屋着に着替えて、晩ご飯の良いにおいのする中でゴロゴロしたい。
それと、無事に帰宅したことを長岡にも連絡したい。
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