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第155話

久しぶりに食べる母の味。 この少し甘い味付けのきんぴら。 昨日の残り物だって美味しい。 育ってきた味だ。 ただ、安心するのか欠伸が止まらない。 行儀悪く箸を持ったまま口を隠していると、リビングのドアが開いた。 「はう…」 「綾登、おはよう。 良く眠れた?」 「もう、いくの?」 スーツ姿を見て、しょんぼりした顔をする。 ふくふくの頬もぺちゃ…っと元気がなさそうだ。 箸を置いて、おいで、と手を伸ばすと真っ直ぐに抱き付いてきた。 「朝ご飯食べてるだけ。 もう少しいるよ。 先に着替えたんだ。 優登も制服でご飯食べるだろ」 「うん…」 「今度は綾登の誕生日に帰ってくるよ」 「ほんとっ!」 「ほんと。 プレゼントなにが良いか考えといて」 パッと明るくなる顔をむにむにと揉んだ。 やっぱりこの顔がとびっきりに似合ってる。 「綾登、お顔洗おう」 「うんっ。 みっちゃ、はぅ、またくるって」 「楽しみだね」 ゴールデンウィーク前なら、ゴールデンウィークに仕事を回せば大丈夫だ。 それまではしっかり働いてプレゼント代を賄わなければ。 「あと、なんにち?」 「後で数えようね」 「うんっ!」

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