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第158話
手洗いうがいを済ませた長岡はジャケットのボタンを外しながら、ふいに視線をソファへと移した。
「洗濯物畳んでくれたのか?」
「あ…、暇だったので…」
「助かるよ。
ありがとな」
なにもしなくて良いと言われても、それはそれで手持ち無沙汰だ。
ぼーとする時間も必要だがそれとこれとも違う。
それで結局は家事をしてしまっていた。
けど、自分の洗濯物も洗ってもらっているのでこれくらいしないと自分が気になるし、気が済まないのもある。
「でも、俺のパンツ見たんだろ。
えっち」
「えっち、って…」
殆んど同じ形の下着だ。
特に気にもせず畳んでいたが急に意識してしまう。
…人というのはこうも単純なのか。
恥ずかしくなってきた。
「顔真っ赤にして。
俺のパンツなんて見慣れてんだろ」
「言い方ですよ…」
「本当のことだろ。
新しいの買ったら分かるだろ?」
「それは、まぁ」
けど、それはウエストゴムのへたり具合とかを総合してだ。
同じような黒や紺の下着ならパッと見では判断出来ないと思う。
決して、すべての下着のデザインを記憶しているわけじゃない。
それは流石に…、
背後から抱き締められた。
「弟、大丈夫だったか」
「はい。
昨日は一緒にご飯食べて、寝て。
次は誕生日に帰るって約束してきました」
「そうか。
もう少し俺も気にするべきだったな。
悪い」
「そんなこと考えてくださってたんですか?」
「そりゃ、可愛い恋人のご家族だからな。
俺ばっかりが占領してちゃ悪いだろ」
素朴な優しさがつい笑みが溢れてしまう。
占領という言葉選びも好きだ。
「なら、正宗さんも柏くんと蓬ちゃんに会い行かないとですよ。
俺より一緒にいた時間長いんですから」
「飯がなくなったら補充しに行くよ。
どっちも俺が連れ帰ったんだからな」
「お持ち帰りですか?」
「ははっ、良い言い方だな。
じゃ、今日は遥登持ち帰ろっかなぁ」
項を軽く食みながらそんなことを言われたら更に顔が熱くなる。
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