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第159話

「泊まるのにですか…?」 「泊まるのにですよ」 体温の低い長岡でもくっついているとあたたかい。 甘えるように腕に触れると、逆に指を絡めとられた。 「飯食って、少し休もうな」 「でも…」 「後でなんでも教えてやるから、少し休め。 今日だって早起きしたんだろ」 ノートの作り方、授業の進め方、プリントの内容、知りたいことは沢山ある。 それを恩師から知れるのは確かに嬉しい。 けど、そんな近道をしても良いのか。 狡くないか。 「身体壊したら元も子もねぇだろ」 心配してくれてるんだ… 12時間近く学校にいることが増えた。 長岡も新人の頃は20時過ぎまで残っていたと言っていた。 特別珍しいことではない。 けど、それとは別に心配もあるのだろう。 きっと近くにいるからこそのものだ。 頑張る姿を褒めるのは簡単だ。 だけど、長岡はブレーキをかけてくれる。 それがどんなに難しいことか。 「アイス、一緒に食べてくれますか?」 「ん。 任せとけ」 「休みます」 「ありがとな」 ありがとうは自分の台詞だ。 長岡がいてくれるから、ただ真っ直ぐに走れるんだ。

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