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第163話

腰掛けると、チョコレートを半分に折り口に入れる。 甘い。 けど、少しだけ渋さがある。 三条が好んで食べてるチョコレートの味だ。 そのまま三条のパソコンを眺めた。 「掴めてきましたか?」 「まだまだです。 迷惑ばかりかけている気がします」 「迷惑ばかりなんてことはないでしょ。 気の効く良い子だって評判ですよ。 これも良くできてます」 新任の仕事は沢山ある。 そうでなくてもすることはあるのにだ。 それをきちんとこなせているだけで満点だ。 人に聞くことも出来ている。 社会人として大切なことは出来ているので安心してほしい。 「ここ、この資料ありますよ。 貸します」 「本当ですか」 「家にあります。 明日持ってきますね」 なんて、家で渡せるの白々しい。 視線を合わせわざと微笑むと三条は頬を赤くした。 「あ、りがとうございます」 「どういたしまして。 じゃ、少し休憩してください」 「じゃあ、少しだけ」 漸く飲み物に口をつけ、喉を潤す。 それからチョコレートも口にした。 「なんか学校で休み時間以外にお菓子食べるの、悪いことしてる気になります」 「慣れませんか」 「はい。 先生もいますし」 「それは喜んで良いんですか?」 「喜んでくださると嬉しいです」 はにかむ顔は赴任当初よりずっと穏やかになってきたが、まだまだいつものふにゃふにゃではない。 あと10日程で連休になるが、それまでは生徒たち同様こんな感じなのだろう。 珍しい姿だ、しっかりと目に焼き付けておこうと強く思う。

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