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第172話
机の上のご飯は大方お腹の中へと収められた。
お皿が片付けられ、かわりにメインを張るのは優登が作ったケーキ。
昨日スポンジを焼き、今日は学校から帰ってきて早々に自転車でスーパーに苺を買いに行って出来た世界に1つだけのケーキだ。
「けーきだよ!」
「蝋燭つける、ライター持ってくるね」
「着火マンあるよ」
綾登は嬉しそうな顔で指差して一所懸命に話してくる。
2段だね、苺が沢山だね、4歳だよ。
1つひとつに目を輝かせている。
着火マンで蝋燭に火が灯ると部屋の電気が消された。
「えへへっ」
赤ちゃんの頃とかわらない笑い方。
だけど、大きくなった。
「誕生日おめでとう」
「綾登、おめでとう」
「ありあと!」
「願い事思い浮かべながら消すんだぞ」
「あしたも、うどんがいい」
ふーっ
そりゃ、明日も叶いそうな願いだと家族みんなが思った。
「上段は綾登がそのまま食う?」
「あーとの?
ぜんぶぅ?」
「うん。
食える?」
部屋の電気が灯ると、どうする?と質問が飛ぶ。
「くえるよ!」
「じゃ、丸ごといけ」
ケーキと共に台所へと引っ込んだ優登。
嬉しそうな顔をして待つ綾登と両親と、次男を待つ。
解体…と言ったら大袈裟だが上下に分けるのは難しくないのか。
そんなことを考えていると、切り分けられたケーキが運ばれてきた。
「わぁ…」
「美味そう」
中にも果物が沢山詰められている。
それを見て綾登は嘆願の声を漏らした。
けど、その目の前に差し出されるのは、切られた物ではなく、小さくともホールのまま。
「いいのっ?」
「良いよ」
「いたあきますっ!」
苺を大きく掬い口の回りにクリームをつけるように大きな口で大きな1口を頬張った。
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