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第176話
「それにしても、もう4歳か。
早いな」
「俺からみても早いですよ。
ついこの間まで赤ちゃんだと思ってたのに、もう幼児ですよ。
箸も使いますし、トイレも使いますし」
4月生まれで組の中では年上だとしても、家の中では1番の赤ちゃん。
優登ではないがそんな意識はあった。
だが、少し離れていた内にまた出来ることが増え、言葉も増え、成長を感じた。
言い間違いもあるのかうにゃうにゃと聞こえ理解出来ない単語もあったが、それも減ったように思う。
あの可愛い舌足らずの幼児言葉はスマホの中に残ってはいる。
それでも、聞けなくなるの思うと寂しいと思うのが兄心だ。
「遥登もそうやって育ったんだな」
「はい。
4歳だと、まだ弟はいなかったので我が儘だったと思います」
「子供なんて我が儘で当然だ。
自我が出てくる年頃なんだし。
正しい成長だろ」
長岡の言葉は教師らしいというか、いつも子供の味方の言葉選びだ。
本人は意識してないのか味噌汁を飲みながら七味をかけようか迷っているので、頭で考えてというより本心なのだろう。
「正宗さんは、4歳の頃ってどんな子だったんですか?」
「4歳って年少か。
年少……何年前だ」
歳の差を考えると、自分の両親が出会う前に長岡が生まれていた訳だ。
そう思うと幼い日の思い出はどうしても想像して補完しなければならない。
流行っていたテレビも、音楽も、遊びも知らない。
両親に聞いたところで、それは大人の流行りなのだから。
寂しいと思うが、反面共有出来る喜びもある。
「そうだな。
4歳かは定かじゃねぇけど、本を読んでて手の水掻きん所切った覚えたがある」
「痛いやつじゃないですか…」
「傷跡ねぇんだからガキの治癒力すげぇよな」
ほら、と見せる手のひらに触れるとぎゅっと手を握られた。
「遥登のことももっと教えてくれよ」
「はい」
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