202 / 203
第202話
三条と共に部屋に来たのだが、良かったのだろうか。
「いいのか?」
「え?
はい。
宅配ですし」
コーヒーを差し出す三条は一度動きを止めた。
「落ち着きませんか?」
「そうじゃねぇけど、見慣れねぇな。
遥登の部屋だなとは思う」
いつも自分の部屋に来ていた恋人だ。
その恋人の部屋に訪れるのはやっぱり不思議な気持ちになる。
圧倒的に慣れていない。
ただ、三条の清潔なにおいがする空間というのはいいものだ。
それに本のセンスも合う。
「沢山来て慣れてください」
「えっろい誘い方だな」
「そういう意味じゃ…」
「そういう意味じゃねぇの?」
一歩距離を詰めると三条の目が泳いだ。
なんだかんだ言って三条も場所で初々しく反応してくれている。
保護欲が沸くと共にいじめたくなる。
ちゅっと軽くキスすれば、腕に手を添えた。
駄目とは言わないが恥ずかしさが勝っていて、止めたいのだろう。
けど、待ってと口にはしない。
頭と身体が別の動きをしている。
「…」
そわ…っとしているところ申し訳ないが、この顔を宅配のドライバーに見せるわけにもいかない。
少しだけおあずけだ。
ともだちにシェアしよう!

