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第207話

「おー、ぎっしり」 「祖父母が誕生日にって。 わ、キャベツ! 新玉ねぎもあります!」 大きな段ボールの中には野菜がぎっしり。 新聞紙で大切にくるまれた野菜は畑で祖父母が育てた物らしい。 どれも愛情いっぱいに育ったのだろう。 色も綺麗で美味しそうだ。 「ちっちゃい玉ねぎもあります! これ、好きなんです」 ぺちゃと笑う顔からはさっきのいやらしさは微塵も感じられない。 どこにさっきの色気を隠すんだろうな。 「春野菜美味しいですよね。 晩ご飯はここで食べますか?」 「いいのか?」 「はい。 是非」 一つひとつ取り出し、中味を確認してはにこにこしている。 こういうところが良いんだよな 育ったように育つ。 三条を見てるとそう思う。 穏やかに伸びのびと育ったのだろう。 愛されたから愛し方を知っている。 すくすくと大きくなった。 だからなにがなんでも手に入れたかったんだろうな。 「あ、茎わかめです!」 「ははっ、すげぇ嬉しそうだな」 「美味しいから…」 一緒にこうして笑い合えるなんて、なんてしあわせなんだろう。

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