211 / 232

第211話

揺すぶられていると長岡が身を屈めてきた。 当たる位置がかわって、つい声が漏れてしまう。 「……っん、」 「はる、誕生日おめでと」 ボヤける視界に時計は入るが時刻は分からない。 「たん、じょ…び…?」 「ん、5日になった」 よいしょっと身体を起こされ座位になる。 またまた当たる位置がかわり、息を飲んだ。 当たる位置どころか自身の体重で奥まで入り込んでしまい、慣れるまで長岡にしがみつく。 そうしているとスマホがメッセージの到着を知らせる。 本当に誕生日になったみたいだ。 「もう23か」 「は、い」 「もっとゆっくり大きくなればいいのにな」 慈しむように触れる手が髪を撫でた。 大切にされていると思う。 愛されていると。 「慣れたか?」 「……たぶん」 「じゃ、年の数だけキスでもするか?」 「年の数だけ…?」 「足りねぇ?」 嬉しそうな口が近付いてきて、軽い音をたてた。 足りかないかどうかで答えるなら足りないが、どうせ今の話だ。 起きたらキス、隙あらばキスをしてくれるはず。 「おめでとう」 「ありがとうございます」

ともだちにシェアしよう!