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第216話

買い物から帰ってきた長岡の荷物を見て驚いた。 スーパーだけと思っていたら、ケーキまで買ってきてくれた。 「楽しみです」 「美味そうなの沢山買ったからな」 「買いすぎな気もしますけど…」 「甘やかすの、すっげぇ楽しいから止めても無駄だぞ」 これだもんな。 本当に楽しそうな顔をするから、止めるに止められない。 ある程度のところで止めるけど。 「甘やかしすぎですよ」 「いやじゃねぇだろ」 「狡い聴き方です…」 穏やかな時間。 例え今日が誕生日じゃなくとも、良い日だ。 烏龍茶をマグに注いで、いつもの定位置へ。 マグを置き、腰を下ろした瞬間だった。 2人のスマホから鳴り響く嫌な音。 『大きな揺れに注意』 画面に大きく表示される文字は読まなくても頭に警告を知らせる。 足元がふら付くような感覚がした瞬間、長岡が覆い被さるように抱き締めてきた。 「っ!!」 この感覚は覚えがある。 自分がまだ幼かった時、この地が震源になった時に両親がしてくれたことだ。 だけど、その時とは違うのは、三条が成長していることだ。 自分の身を自分で守れること、そして、守りたい人を自分が守ることが出来ること。 三条は手探りでソファからクッションを手に取り長岡の頭にのせる。 なにがあって絶対に離さないとばかりの長岡を、自分が守りたい。 なにがあっても、絶対に。 長岡の命に対して自分が差し出せるのは己の命。 長い横揺れに、目が回る。 少しだけ気持ち悪い気がするのは食後だからだろう。 「……とまったか…?」 「多分…」 確認するかのようにゆっくりと身を離し、テレビを点けた。 すぐに地震速報が流れ出す。 「正宗さん、ありがとうございます」 「ん?」 「守ってくれて、ありがとうございます」 「あぁ…。 身体って勝手に動くんだな」 なんてことのないように言いながら、笑ってみせる優しい人。 とても優しくて大きくて、大好きで、守りたい。 「遥登こそ、ありがとうな。 頭、守ってくれたろ」 三条は首を降って抱き付いた。 「遥登に、なんもなくて良かった」 背中に回る手に安心する。 死ぬなら一緒が良い。 けれど、もっとずっと2人で生きていたい。

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