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第231話

洗い物をする長岡に近付くと背中そっと腕を回した。 「あったけぇな」 「皿洗いは俺がしたかったです」 「誕生日だろ。 王様みたいにしてろって」 「そんな関係じゃないじゃないですか」 絶対にスポンジを寄越しはしない。 せめて洗い終わった皿を拭いて片付けるぞと意気込んで隣で待っていたが、つい。 細い人なのに、背中は広くて大きい。 矛盾しているようでしてない不思議な背中だ。 「俺がしてぇの。 遥登に」 「……狡いです」 額をくっ付け甘える。 誕生日は、産まれてきた日だ。 だけど、自分の力でという訳でもない。 痛いのを耐えたのも母で、気が付いたら産まれていたんだから。 だから、偉そうにするなんてピンとこない。 「なら、一緒に風呂はいってくれよ」 「…えっちぃことしますか?」 「どうだろうなぁ」 「俺が背中洗います」 「俺が全身洗ってやる」 「もー…」 長岡なら本当にしかねない。 すっかり成人したのに、こういう愛情表現はずっとかわらない。 嬉しくて、少しだけ恥ずかしい。 だけどやっぱり嬉しい。 腕を潜り、腹側から抱き付くと長岡の笑みは深くなる。 それはもう嬉しいそうだ。

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