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第241話
「三条」
授業内容を纏めていると声をかけられハッとした。
「はい…」
「集中しすぎだ。
息してるか」
「はい…」
なにか分からず、質問に答えていて漸く気が付いた。
長岡の顔にかかる影の色が濃いことを。
自分の視線に気が付いた長岡は小首を傾げてみせる。
「何時だと思う?」
「え、8時…?」
見下ろす腕時計はすっかり20時を過ぎている。
清掃を終え、職員室で軽く用事を済ませ、18時少し前に準備室に戻ってきて。
それからずっとパソコンに向かっていたのか…?
「一段落つくか?」
「はい。
終わらせます」
「待つから」
待つから…?
「古津先生ならもう帰りましたよ」
「いつですか…?」
「三条が戻ってきた時には帰ってました」
「そうなんですか?」
キリの良いところまで、と手だけは止めない。
流石に時間的に帰宅しないとまずい。
怒られはしないが、小言を言われそうだ。
「すみません、すぐに終わります」
「カップ洗いますね」
「すみません」
保存して、シャットダウンの準備。
ノートや筆記用具を一纏めにし、そのまま鞄に入れる。
「先生、終わりました」
「はい。
お疲れ様でした」
「お疲れ様です」
背中を押されるように準備室を出ると長岡はサッと施錠した。
そのまま階段を降りて職員用玄関へと向かう。
同じ職場でも授業の振り分けが違えば一緒に並んで歩くこともない。
精々、朝礼終わりと全校集会の時くらいか。
職員全員で動くともほぼない。
なんとなく久し振りな気がする。
爪先の位置を確認するのにトントンっと靴で地面を叩く。
「帰りましょうか」
「はい」
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