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第257話

「んまっ」 「美味いか。 良かったよ」 丼ものが特別好きということもないが、口いっぱいに色んな味を頬張れるのは嬉しい。 ぷりぷりでピリ辛な海老チリ。 ほんのり甘い半熟とろとろのたまご焼き。 それから、どう転んでも美味しいお米。 それを贅沢に一口で楽しめるんだ。 「最近ずっと作ってもらってて、今週末こそ俺が作りますから」 「俺が仕事の時に作り置きしてくれてたろ」 「学生でしたし、時間は沢山ありましたから」 あの頃は勉強しても時間は沢山あった。 気晴らしに散歩だって出来た。 けど、今は仕事にレポートにと時間が足りない。 採用から1年は初任者研修があり、どうしても時間がつくりきれない。 校外研修の講義、見学レポート、研究授業の学習指導案、お事後振り返り書、校内研修の実践記録、生徒指導、進路指導に関するレポート、自己研修目標。 それから授業。 授業もプリントや資料、ノートをつくったり。 テストになれば採点に成績入力。 長岡が丁寧に教えてくれるが、自分で考えなければいけないことも沢山ある。 何事も経験だと色んなことも教えてもらいたい。 となると、どうしてもレポート類は放課後や退勤後、休日に追いやられてしまう。 すると、どうしても長岡が食事の支度をかってでてくれてしまう。 掃除や洗濯も。 「今週末は俺が食事の用意したいです」 「なら、遥登のカレーが食いてぇ」 なんてことのないように言われたそれ。 簡単な調理であまり時間をかけなくていい選択も、きっと意図的なんだろう。 それでも、作りたいという気持ちを汲んでくれた。 「はい。 一緒にカレー食べてください」 「沢山作ってくれ。 翌日はカレーうどんにしようぜ」 「カレーうどん! 良いですね」 「チーズのっけて焼きカレーも良いな」 「チーズの焼きカレーも美味しいです! 迷いますね」 忙しくてもこの時間があれば頑張れる。 大好きな人とご飯が食べれるしあわせだけは、忙しさも奪えない。

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