2 / 46

第2話 魔力なのにエロさを感じるってどういうことだ。

そうなりゃ話は早い。触ってみればいいだけのことだ。 試しにチェイス室長の纏う魔力に触ってみたら、感触が完全に同じで「絶対コイツだ」と確信するに至ったわけだ。 とはいえ相手は王宮魔術室の一番のお偉いさんで、さらに言うなら俺が作る魔道具の一番の上お得意様だ。 コトを荒立てていいことなんかひとつもない。 そもそもチェイス室長はコレ以外は噂通りめちゃくちゃいいヒトなんだ。 幸い俺は男だし? ちょっと触られるくらいは別になんてことない。 それにうちの家系が特殊だから魔力で触られてるってのを感じることが出来るだけで、普通は魔術として構築されてない単なる魔力なんて体感なんかできねぇのが普通だ。 本人だって気付かれてるなんて思っちゃいないだろう。 お偉いさんともなると下手に遊ぶわけにもいかなくて、凡人には感じ取ることができない魔力を使ってセクハラ行為なんかしてんのか、部下にはあんなに慕われてんのに残念な人だな……なんて若干憐みの目で見てたんだよ。 そもそもそれが間違いだった。 初めの頃は魔術室で使うものを発注するとかで部下と一緒に来てたくせに、そのうち個人で頼みたいものがあるってチェイス室長が一人で訪ねてくるようになったんだ。 仕事が終わってから来るのか、日が落ちて辺りが暗くなった頃に屋台で買ったようなあったかい飯や酒を手土産にふらりと俺を訪ねては、魔道具の出来を確認しながら買ってきてくれた飯を一緒に食う。 俺なんかと飯を食って何が楽しいのかと思うけど、実際あったかい飯持ってきてくれるのは助かるし、家に篭りっぱなしの俺にはチェイス室長が語ってくれることは、魔術の話も、王宮の話も、魔物討伐の話も、なんなら食いモンや服の話ですら新鮮で面白かった。 俺を楽しませてくれようとしているのが感じられて、ああ、やっぱり優しい人なんだなぁなんて思ってたっていうのにさ。 俺と二人きりで話す時間が長いせいなのか、はたまた酒が入って気が大きくなってんのか、個人依頼を始めた頃から格段に魔力の動きが活発になってきた。 最初は指先にちょんと触ってくる程度だったのに、さわさわと手の甲を撫でるように触ってきたかと思ったら、きゅうっと魔力に温度を感じるほど握りしめる。 指のひとつひとつを確かめるみたいに撫でてこられた時にはコイツ大丈夫かと思ったし、やがて袖の中にまるで指が入ってくるみたいな感触があった時にはさすがにエロさを感じてしまった。 魔力なのにエロさを感じるってどういうことだ。

ともだちにシェアしよう!