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第8話 体質のことを話してみる……!
「たまに魔力を見るのが得意な人いるけど、オレん家は家系的に触覚が優れてるっていうか、魔術として構築してない魔力も触れるんす。人が魔力を放ってるのが触れるっていうか」
正直に体質の事を告白し、だからあんたの魔力が俺を触りまくってくるのもわかってるんだからな? と暗に伝えてみた。
「へぇ、それは珍しい。もっと詳しく聞いてもいいかな」
「別にあんま面白いこともないっすよ。どっちかっていうと面倒なことの方が多いっす」
「例えば?」
「魔力が強いところにいると魔力酔いすることもあるし、いろんな魔力が混ざってるとこ行くと結構気持ち悪くなったりするから」
めっちゃ食いついてきたけど、思ってるのとはちょっと違う角度な気もする。……と思いつつもとりあえずは素直に答えてみた。
「だから魔術師が多いところがダメなのか。じゃあ魔術室なんかは多分厳しいだろうね」
「無理っす」
「しかし見えないのに触れるとは本当に珍しい」
「俺の弟は見えるし触れるらしいっす。やっぱ魔術師は辛かったらしくて、魔法剣士になったんすけど、この前ついに冒険者登録するんだっつって張り切ってました」
「へぇ、いよいよ珍しい。どう見えて、どう感じるのか興味があるね。ちょっと会ってみたいなぁ」
「無理っす。もう多分旅に出てると思うんで」
会わせられるか!
うちの弟は素直で懐っこい可愛いヤツだ。しかも結構あんたに憧れてるんだよ。もしものことがあっちゃ困る。
「残念。ちなみにミジェは私の魔力はどう感じるんだい?」
「どうって……」
顔が熱くなった。どうって、猫をモフるみたいに触ってくるときは癒されるけど……このところはほぼエロく感じてるに決まってる。だってあんた、首筋とか腹とか、たまにむ、胸とか……エロい感じで触ってくるじゃんか。
「私も魔力は強い方だから、もしかして私がここに来ることでミジェの体調が悪くなったりするのかい?」
「体調が悪くなりはしないっすけど……チェイス室長は基本いい人なんで」
思いがけずチェイス室長が不安そうな顔をするから、そう即答していた。まぁ実際、魔力自体は本当に気持ち悪さなんて欠片もない。むしろ気持ち良すぎて困るくらいだ。
ただ、触られ過ぎると別の意味で体調に変化をきたすだけで。
「いいひと? それが魔力になにか影響が?」
「妬み深い人とか、悪いこと考えてる人の魔力はマジで吐き気モンなんで」
「うわ……それは便利と言えば便利だけど、結構キツいね。見えるなら近づかなければ済むかも知れないけど、触れてみて気持ち悪くなることがあるということだろうし」
その通り。意外に自衛が難しいから困るんだよな。
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