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第33話 【チェイス視点】すごいいい夢見た……!

すごいいい夢見た……! ミジェを抱きしめて眠る、なんとも幸せな夢だった。この世の天国とはああいう事を言うんだろう。ミジェに会いたいという心の叫びを押し殺し、心身を削ってがむしゃらに祭りの準備に勤しんだ私への、神からの褒美に違いない。 抱きしめたミジェの体があまりにも心地よくて一瞬不埒な考えが過ったが、大人しく腕の中に居てくれるだけでもこの上ない僥倖だ。魔力のコントロール即ち自身の妄想のコントロールを行うと固く約束したあの日を思い出し、ただただその細い体を抱きしめた。 最高。 寝ていてもミジェとの約束を守ろうとしている自分も全力で褒めたい。これなら、ミジェに無意識にセクハラしまくって怖い思いをさせることもないかも知れない。今後の自分に期待大だ。 夢でミジェに会えて、自分にも自信が持てた目覚めはもちろん素晴らしいものだった。 力がみなぎる。三日分の仕事でも片付けられるかも知れない。 こんな日はデスクで大量の仕事を鬼のように片付けたいものだが、残念ながら室長としての外せない、けれど「要らないだろ」と思っている重要案件がある。 せっかく気持ちいい目覚めだったというのに、私は少しだけため息をついてベッドから出る。そして、クローゼットの中から仰々しいローブと髪飾りを引っ張り出した。 美形が身につければさぞや華やかになるだろう技術の粋を集めた逸品だが、残念ながら私は凡庸な顔でかつオーラもない。完全に服と飾りの方が勝っていると自分でも理解しているだけに憂鬱だ。今日は午前中いっぱい、この衣装を身につけて終始笑顔で王室主催のパレードに参加するのが私の役目だった。 面倒くさい。 煌びやかな王室とイケメン揃いの騎士団だけでいいんじゃないかと思うんだが。 籠って魔術開発している方が楽しいと言い切る魔術師ばっかりで構成された王宮魔術室はもちろんパレードに参加する人数は最小限だ。だからこそ私は逃げられない、悲しいスケープゴートなのだ。 *** 「笑って! っていってるっしょ」 ゴスっと鈍い音を立てて、脇腹にライールの肘鉄が入る。 「暴力反対……!」 「目が死んでますよー。騎士団の連中の輝くような笑顔を見習ってください。歯ぁキラキラしてますよ」 「あんなん何か塗ってるだろう……」 うう、腕がだるい。手をふり続けるの地味に疲れる。誰も私達など見ていないだろうに、こんな事してる暇があったら仕事をバンバン片付けて、愛しのミジェの元に馳せ参じたい。ああ、昨夜夢で見たミジェ、可愛かったな……。 「もー……って、チェイス室長」

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