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2 剣道部
花山高校は武道系統に力を入れている高校で
華道
茶道
書道
合気道
空手
柔道
剣道
弓道
部活動はこれしかない。
ちなみに入学資格も中学生でなにかしら武道の賞をとったりしている者しか入れない熟練者を指導する専門学校になる。
俺たちは小学生からやっていた剣道部に入部届けを出した。
そして今日は剣道部初日、先輩方のお披露目会なんだけど、3年に凄腕の人がいて去年は全国まで行ったとか、その先輩はゆくゆくはオリンピックに出場という話も来ているらしい。
だからその先輩には興味がある。
お披露目会といえど正式な場なので全員袴に着替え胴着を身に纏った。
少しよぼよぼなおじいちゃん先生が出てきた。
「えーでは改めまして、新入生の方入学おめでとうございます、1年生の入部届けは20人、他のところより少ないです、どうしてだろうね。部長は3年の貴船 副部長も3年の飯島が担当してる、で全員で何人だっけ?」
部活人数忘れるとかおじいちゃん先生面白すぎる。
俺と葵は苦笑した。
「えっと3年が20人で2年が30人なんで1年と合わせたら70人ですね」
「うわぁーお、多いじゃん」
「はい、多いです……えっとここからは部長であります私から説明をします、人数が毎年多いので部活動の時間を分けています、月水金はAグループで35人、火木土はBグループで35人、日曜日は午前がA 午後がBです。振り分け方は明日から始まるトーナメント形式で弱者、強者でわけます」
「うわぁー意外とキチイな」
「だな」
「基本土日に試合が入ることが多いので月水金のAグループは強者組になります」
「副部長の飯島です、明日から始まるトーナメント戦はちょうど70人っていうね、キリがいいので7人のトーナメントを10作ってやります、毎年2年が作ってくれるあみだくじで決めます、帰りに名前と棒を記入して帰ってください」
「あ、あと初めから自分は弱者がいいですってやつは名前のところに参加不可と記入お願いします、試合が免除されます」
そんなやついるのかよ。
「はぁーよかった、俺無理だもん」
と後ろから聞こえてきた。
「これに関して質問があるやついるか?」
「はい」
「ご説明ありがとうございます、1年3組の米田葵です、えっともし35人の定員に達してしまった場合はどうするんですか?」
「それは弱者のBの話か?」
「いえ、強者のAの話です」
「ああ、安心しろ毎年強者は20人いれば多い方だから」
「つまりレギュラーメンバーはいつも変わらず20人ということですか?」
「お前頭の回転速いな、そうだよ、そういうこと」
「なら安心しました」
葵はにこっと微笑み座った。
他の1年はざわついていた。
「あーだからBグループはいつも35人より多いな、気を利かせて先生がC Dとか作ってくれてる、あと試合は学校を代表するもの、つまり市大会、県大会、全国大会は基本Aの者が先発されると思ってもらったほうがいい。剣道を思う存分やりたいやつはAを目指してくれって話」
へぇー燃えるね。
そんな話を聞かされ始まったのはお披露目会だった。
特に3年が圧倒的に強い、部長の貴船なんかは気合いと圧だけにビビってる1年多い。
「やぁ!!」
「面!!」
「ねぇ葵」
「ん?」
「あの貴船って部長もしかして貴船家の人かな?」
「あーじゃないか、たしか剣道と弓道が男の道って言われてて華道と茶道は女の道って言われている家系だった気がする」
「だよな」
「なに、結城も怖気ついた?」
「な、わけ俄然燃える」
「だよな、まさか日本を代表する人に巡り会えるなんてな」
「興奮しちゃうね」
「えーでは1年の中で先輩に歯向かいたいってやついますか? 時間ないから1人。
まぁ明日からでもいいんだけど」
「ああ、これ毎年恒例だから、全然負けてくれて良いよ、気軽に」
ざわざわとどよめいていた。
「俺は出ないから」
「へいへい んじゃ米田葵が挑戦しま~~す!!」
「うわぁ新入生代表すごっ」
持ってきていた面をつけた。
「あー君A候補の」
「誰やる?」
「んじゃ自分が」
「飯島副部長ですね、お手柔らかに~~」
「その舐めた口調黙らせてやるよ」
にやっとお互い見つめていた。
冷やっと冷気が立ちこめるように足下が冷えた。
くるぞくるぞ、葵の得意技。
ぞくぞくとわくわくが止まらない。
【開始!!】
ガシャンと音がしたと思えば
【1本!!】と試合が終わっていた。
「あんれ~~ どゆこと瞬殺すぎて見えなかったんだけど」
「決まった!」
葵の必殺技、自分から隙を作って相手を引きずり込みそれを瞬時に撃ち抜く技、普通にかっこいい。
「おい、飯島手抜くなよ、恥ずかしいぞ」
と待機している3年に言われていた。
「いやーみんな見えた?」
「俺はしっかりと」
「んじゃやれよ」
「いや、だって時間ないんだろ?」
「瞬殺すぎて6時になってないから時間ある」
「ひいいい、こんやろーー」
【1本!!】
「は? 見えんし」
「君はたしか中学生の時鬼の葵って言われてたよな?」
「ご存知でしたか、嬉しいな~~」
「え、嘘、あれって全国大会に出場した中学生だよな、しかもたしかこの辺の中学で駅構内に幕があった」
「たしか、鬼には連れがいてその連れも鬼って呼ばれていたような、名前は鬼の……」
「鬼の結城ですよ」
と葵が言った。
俺は出ない俺は出ない……。
と首を振っていたら
「もしかして栗山くんのこと?」
「あーでも本人出たくないみたいなので遠慮してあげてください」
「じゃぁ俺が相手をしてやろう!! かかってこい!!」
「お! 2年代表きたーーー」
「あらら、結城呼ばれてるぞ」
「えー出ないっていう選択肢はないの」
「……お前らはAで良いぞ」
と部長の貴船が言った。
「あれぇーもうすでに決定しちゃったの……」
「鬼に部員が喰われでもしたら大変だしな」
「そうだね、鬼の結城の実力を確かめてからなら俺たちもOKですよ」
「先生たちもそれでいいですか?」
「ああ、まさかダブル鬼がうちの高校に来てくれるとは思ってなかったからね」
「ほんじゃやりましょ、できれば手抜きで頼みます」
「それ、後輩に言う言葉ですか?」
俺は構えた。
葵ほどではないが葵に並ぶってのも難しいんだからな。
【1本!!】
「いやいやいや、胴抜かれたんですけど、見えないし……こわっ」
という感じで1日目が終了した。
どうしよ、明日から同クラスの剣道部員から妬みとか言われそう、こわっ。
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