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第23話 裏切られた 1 ♢壱成♢ ※

 ノブはいつものように朝早くに家にやってきた。  ドアを開けた途端に、いつも以上に嬉しそうな笑顔のノブが飛び込んできて、すぐにでも飛びつきたくなった。  でも、俺が飛びつくよりも先にノブに抱きしめられた。 「壱成、会えてよかった……。もう会ってくれねぇかもって……すげぇ怖かった。ありがとう、連絡くれて」 「……どうして。そんなわけないだろ」  必死で俺を抱きしめるノブの背中を優しくさする。   「ちゃんと休めって言っておきながら、すぐ会いに来て……ごめん」 「会いたいから連絡したんだ。来てくれて嬉しいよ」 「好きだよ……壱成。もう俺だけ好きでもいい。でも会うたびに言わせて。好きだって、ずっと言わせて。……だめか?」    本当は、好きだと言われるたびに俺じゃない誰かの存在が頭をかすめる。  でも、ノブは少しずつでも、ちゃんと俺を好きになってくれていると思う。いまはそう信じたい。 「……ああ。いいよ」 「壱成……っ。マジで嬉しい……好きだよ……っ」 「ノブ……」  俺も……好きだよ。  ノブの背中に腕を回し、首元に顔をうずめた。  自分にセフレだと言い聞かせるのが難しくなりそうだ。  でもそれでもいい。俺はノブに愛されたい。 「……ノブ。今日は……どこも行きたくない……」 「え?」 「……抱いてほしいんだ……いますぐ」 「壱成……」    もう二週間以上ノブを感じていない。  もう待てなかった。  俺たちは見つめ合い、激しくキスをした。  キスをしながら服を脱がし、もつれ合いながらベッドに移動する。  ノブは俺をベッドに押し倒すと、荒々しく身体中にキスをした。 「はぁ……っ……っ、あ……っ、ノブ……ぁっ」  ノブも俺と同じ温度で求めてくれていると全身に伝わって、嬉しくて涙がにじんだ。  久しぶりのノブの熱に頭がのぼせる。身体が敏感に反応し、いつも以上に声が漏れた。 「ん……っぁ、ノブ……もう準備してあるから……はやく」 「ダメ。いまからいっぱい壱成を可愛がってグズグズにするから」 「それは……あとでいい……。時間ならたっぷりある……だろ……」     ノブは聞こえないというように俺の弱い乳首に吸い付き、反対側も指先でカリカリといじる。 「はっ、ぁ……っ、ちくび……イイッ、あ゙……っ……」 「ほんと、乳首弱いな。乳首だけでイかせてみてぇんだけど」 「それは、さすがに無理……だろ。あぁ……っ」  ビリビリと快感が全身に走って身体が仰け反った。そして、俺の後ろがさらにノブを欲して、たまらなくうずく。    「んっ、ん……っ、もう……入れてくれ、ノブ……。もう待てない……」  身体を起こしノブのボクサーパンツに指をかけると、もうすでにはち切れそうなノブのものが顔を出した。  ノブも俺をほしがっている。舐めて準備をしなくても、もう充分に硬いそれが嬉しくて口角が上がった。 「ほら……ノブももう入れたいだろ?」  「壱成は……『もう待てない』が多いよな?」 「……引く、か?」 「なに言ってんのかな、もー……」  そう言って俺をまたベッドに寝かせた。 「引いてたらこんななってねぇっつの」  ノブが俺のものに優しくふれて、チュッチュッと数回キスをした。 「んっンっ……」  前戯でそれを舐めずに終わるとき、まるで儀式のようにいつもノブはそうする。俺のものに向かって「今日は舐めてやれなくてごめんな」と言いながらキスをするときもあり、それが可愛くて俺は大好きだった。 「ノブ、そのまま入れて……」 「もー……そのおねだり、ほんとやばい。今日も中にほしいの?」 「……ああ、ほしいよ……」  中も外も全部ノブに愛されたい。満たされたい。 「いいよ。俺の全部、壱成にやるよ」    ほしいよ。本当にノブの全部がほしい。全部、俺のものにできればいいのに……。 「あっ、あ゙ぁ…………っ、ノ……ブ……っ」  久しぶりに受け入れたノブのものは、すごく熱くて大きくて、俺の中がノブでいっぱいになった。   「ぅ……っ、壱……成……っ」  ずっとほしかった。やっとノブと繋がれた。身体中が幸福感で満たされていく。   「壱成……っ」 「ノブ……ん……っ」  ノブが俺の唇をキスでふさぐ。深くとろけるキスをしながら、ノブは腰を優しく揺するように中をこすった。 「んん……っ、ンっ……っ……」  嬉しい。俺はノブに抱かれて本当に幸せだ。  好きだ、ノブ。ずっとこのまま繋がっていたい。   ノブを見つめながらキスをして、いつものようにホクロが目に入った。  そうだホクロ。忘れてた。ほら、やっぱりノブのほうが色が薄…………。  ドクンと心臓が鳴った。  ノブのホクロを何度も見た。  でも、色も形も位置も、京と……。  同……じ…………?  ドクドクと心臓の音が耳に響く。  そんな……まさか……ありえない。  昨日見つけた京の額のホクロ、あれは無いだろ……。  頬のホクロは……。  次々と確認し、愕然とする。  ノブと京は、どのホクロの位置も完全に一致していた。  サッと血の気が引いて身体が凍りつく。  どういうことだ……。  そんな偶然ありえるのか? バカな。そんなことあるわけない。  それなら……ノブは……京、なのか……?  だって、髪も目も黒いじゃないか……。  そうだよ、京のわけがない。  そう思い、メガネ越しにノブの目を凝視した。  そして、さらに愕然とする。これはコンタクトだ……コンタクトを付けてメガネなんておかしい。これは……カラコンか……。 「どうしたの? 壱成?」  唇を離して不思議そうに俺を見つめ、また優しく口付けるノブに背筋が凍った。  京……だ……。この声、京だ……。  いつもの京の声とは違う。ノブだけの甘い響き。  京が俺に甘くささやくことは無い。だから俺は……違うと思い込んだ。  なぜ気が付かなかったんだ。どうして……っ。  なぜ京は俺を騙してこんなことを……っ。    裏切られた思いで、まるで心が引き裂かれたように痛みが走った。  

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