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「エト兄、トア兄!」
「来たかふたりとも」
「おかえりレスフィー。父様もいたのですね」
「仕事よりこちらの方が大事だからな」
部屋には既にみんないて、兄と共に空いているソファへ座る。
弟の隣には赤髪の子。
俺みたいに少し髪が長くて、目が大きい。
……なんだ?
じっと見られていて居心地が悪い……
でも、心なしか雰囲気がちょっと俺に似てるかも? なんで??
一体、この子は何者なんだろう。
「ふふ、父様もトアの事となると目がありませんね」
「当たり前だよ!
勿論エトシィールもレスフィーも大事だがーー」
「あーはいはい、そういうのは分かったから!
さっさと本題に入ろう!」
「おぉそうだな、そうだそうだ」
仕切り直しというようにパンっと父様が手を叩く。
「実はトアが目覚めて半年ほど経ったから、そろそろこの世界のことを教えようと思ってね。この場を設けたんだ」
「この世界の、こと」
「そうだ。先ずは基本的な所からいこうか。
この世界の人は、必ず魔力を持っている。
生まれると同時に発動するんだよ。だからトアにも魔力が宿ってる。
眠っている間のことを不思議がっていたね?」
「ぁ、はいっ」
「あれは魔力で生きられていたんだ。眠ったままの君に適応すべく、魔力が形を変えたという感じかな。だから身体も成長していたし何も食べなくても大丈夫だった。
トアの意識が戻ったのも、魔力の変化で気づけたんだよ」
成る程…魔力……
ということは、俺の意識がある時に挨拶されてたのも、魔力で起きてるのが分かったせい?
怖がってると当てられたのも?
なんか、ちょっと魔力って厄介だな……
心の内を見られているようで嫌だ。隠したいものが隠せない。
「そして、その魔力によって人は3種類に分けられる。
〝剣術士〟と〝精霊士〟と〝職人〟」
剣術士は名前の通り剣士のこと。
術も多少使いながら、主に剣で生きていく人たち。
精霊士は、精霊と契約を交わしその力を使う人のこと。
この世界には様々な精霊がいて、それらと上手く契約するのらしい。
職人は、剣術士でも精霊士でもない人のこと。
武器製作や薬草調合に長けていたりと生活面での能力が高く、将来はそういった職に就くのだそう。
うわぁ、元いた世界じゃ考えられないくらいファンタジー。
てっきり欧米とかそんな感じの場所かと思ってた。
俺ここの当たり前について行けるかな、やばいな。
「この3つの分類は生まれた瞬間に分かるものなんだ。
エトシィールとレスフィーは剣術士だった。剣術士の私の血を多く受け継いでいるからね」
「学校でも剣や術を学んでいるんだよ」
「そう、なんですね……では俺もーー」
「いや、トアスリティカは精霊士だ」
「え?」
「母の血を多く継いでいるからね。
だから兄弟の中で、君だけ精霊士なんだ」
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