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「精霊…士……母様もそうだったのですか?」 「あぁ。 それはそれは綺麗な人でね、色んな術を使っていたよ」 思い返すように父様の顔が綻ぶ。 「この屋敷には精霊士がいないんだ。だから今回レスフィーの幼馴染を呼んでもらった。実際に会った方が想像がつくだろう。 そして、もう一つ。 ーートアスリティカ」 「は、はいっ」 「君には、次の年から一回遅れでレスフィーやこの子と共に、エトシィールのいる学校へ通ってもらいたい」 「………ぇ」 〝学校〟 「レスは来年中等部から高等部に進むんだけど、その時トアもどうかなって父様と話したんだ。 周りより1つ年上で馴染むのに時間がかかるかもしれないけど、レスがフォローしてくれる。それに来年までは俺もいるから大丈夫だよ」 「高等部は3年制だからエト兄は来年で最後なんだ。そんな時にトア兄が目覚めたの、俺本当嬉しくて!3人で通うの凄く楽しみなんだよな!早く来年にならないかって今からワクワクしてる! けど、俺はクラスが違う分完全にフォローし切れないからこいつを連れて来たっていうのもあるんだ。精霊士だからトア兄と同じクラスになるし、目覚めたの話したら〝会いたい〟って言ってて、それでーー」 興奮気味に話すレスフィー。 でも、それに比例して俺の気持ちは沈んでいく。 年子だから、普通だったら俺は今高等部の1年生で2年生である兄様と一緒に通ってたんだろう。 けど俺は眠ってたから一回遅れで来年弟と共に1年生、兄は3年生というわけか…… どうしよう。 学校は、前の世界で失敗した場所だ。 ずっと通っていたけど駄目で、結局孤立してしまって。 『お前気持ち悪りぃんだよ、ずっと』 あの時の言葉は、今も胸に残ってる。 こっちの世界でもまさか学校に通うとは…… でも兄様たちも通ってるから当たり前か。 精霊士のことも何も知らないし、ここで生きていく為には学ばないといけない。 そう、だから通うのなんて当たり前。当たり前なんだ。 けどーー 「トアスリティカ・リスト」 ハッと顔を上げる。 今まで一言も喋らなかった子が、真っ直ぐにこちらを見ていた。 「でしょ? 名前。合ってる?」 「ぁ、は、はい」 「ちょっと。僕の方が年下なのに敬語要らないんだけど」 はぁぁ…と溜め息を吐きながら、赤い髪を後ろへ流す。 「リスト家の眠り姫がどんな奴だったかと思って来てみれば、ただの弱虫じゃん。 なに、本当に生きていく気ある?」 「っ、」 「あぁー…トア兄ごめん、こいつちょっと口悪いんだ。 でも根は良い奴だから、その」 「レスは黙ってて。 ねぇどうなの? 実際今まで眠っていた分他より遅れを取ってるし、ただでさえ3つの中で1番大変な精霊士なんだから0から高等部って相当難しいと思うよ。 大体、そんな〝想い〟じゃ精霊に嫌われる」 「ぇ、」 「バレバレなんだよ魔力で。心の内が」 「ーーっ!」 グッと、服の上から心臓を押さえた。 「精霊は強い心が好き。だから、そんな弱々しいのと契約してくれることは無い。 ずっと寝ていたのが不安なのか元の性格がそれなのかは分からないけど、正直今の状況で精霊士なんてきっと無理だ。 まず、その心根を変えないと」

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