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暖かいような冷たいような、そんな空間。 大きく息を吸って、吐く。 落ち着いて。 大丈夫、自分を信じろ。 絶対、できる。 「ーーよし」 気合を入れて、大きな水晶に向かって手を伸ばす。 大事なのは自分に負けないこと。 しっかり自分を持って臨む。これが大切。 後は、対話と…… 「っ、わ!」 水晶に触れた途端、まるで花火の様に小さな光の粒が一斉に飛び出した。 それらは消える事なく部屋中をふわりふわり漂っていて。 これが、精霊…… なんか前の世界の蛍みたい。すごく綺麗だ。 今はまだ光の粒。話をして、まずは人に近い姿へ形を変えてもらわなくちゃいけない。 けどこんなに沢山…一体どこを向いて話せば…… 想像以上に数が多い中、ごくりと唾を飲んで覚悟を決め、言葉を発しようと口を開く ーーが、 『ねぇ、この子〝変〟じゃない?』 それは、声にならずに消えていった。 『えぇ変ね』 『変だな、何故だろう』 『何故だか分からないけど変だわ』 あちこちで聞こえる声。 光の粒たちが、次々に言葉を発している。 「へ、ん? どう、して……」 『それがわからないから聞いてるのよ。 ねぇ、どうして変なの?』 〝変〟 久しぶりに言われたそれに、耳を塞ぎたくなった。 この世界に来てまだ一度も言われてなかった言葉。 まずい、まさかこんな所で聞くなんて。今が1番の正念場なのにどんどん頭が真っ白になってしまう。 精霊たちは、一体自分のどこを見て変だと感じたのだろう。 外見? 雰囲気? 心の内側? どの部分を直せば、ここを持ち堪えられる? あぁ駄目だ鼓動が速い、魔力が乱れる。 こんなんじゃ心の内が丸わかりだ。 早く、軌道修正をーー 『あぁ、分かったわ』 「っ、ひ!?」 落ち着くため息を吸った瞬間、目の前に突然大きな波が現れ自分を飲み込むようザパリと水飛沫を上げた。 それに全身が震え、動けなくなってしまって…… 『やっぱり。 あなた、水と相性がいいのに怖いのね』 『だからだわ』と、幻想を消した精霊が納得したような声を上げた。

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