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お願い 1

学校に、苦手克服の練習に、共鳴に、家族との時間に…… 前の世界とは違う忙しさで、毎日はすぐ過ぎ去っていく。 この世界で目を覚ますきっかけになった、父様からの「お前は此処にいていいんだよ」という言葉。 あれは今でも心の1番大切なところに閉まってあるし、時々思い出しては温かさに笑ってしまう。 けど、エルバから貰ったあの言葉が自分の心の奥深くに刺さったのは事実だ。 同じようなことを言われてるけど、家族と相棒では違う。 まぁ、そんな中俺は相棒にそれ以上の感情を抱いているのかもしれないけど…… 精霊に恋をするなんて、きっと普通じゃない。 誰に話しても驚かれるはず。 というか恋なのか? もう身体の一部のような感覚で、愛というか何というか…… 俺ってやっぱり普通じゃないんだな。 変で、異端で、おかしくて。 精霊士以前にこの世界の人としてズレているのかもしれない。 エルバは俺のことを「愛い愛い」と言うけど、それは多分じいさんが孫に言う感覚とよく似てるんだと思う。 「慣れてないのがいいな」というか、「反応が可愛いな」というか……そんな感じ。 一切のやましい理由は無いんだろう。 ーーねぇ? エルバ、どうしよう。 こんな俺でも、お前は引かずに相手してくれるのか? 「精霊に恋心など…気持ち悪い」って言わないでくれる? ねぇ、ねぇ。どうか…… このままの距離感で、ずっと 隣にいてくれますか? 「は、精霊と体育……?」 体操服に着替え、外に出て直ぐ言われたそれ。 このクラスでは精霊と共に受ける授業がいくつかあるけど、体育は初めてだ。 「各自精霊と準備運動をした後、再び集合」という先生の声に、各々が精霊を出し始める。 俺もエルバを出そうと口を開く……が、 「準備運動……」 それって、多分思いっきり身体に触られるやつだよな? 既に始めてる組は柔軟運動などを精霊に手伝ってもらっている。 え、俺あれしたら確実にやばいんじゃないか? 服の上からの共鳴には大分慣れてきた。前ほど身体も揺れないし、もうクラスメイトにも分からないと思う。 でも流石にこれはちょっと…まずい気が…… 「なんだ、我を呼ばんのか?」 「っ、」 隣には、他からも見えるように現れたエルバ。 「我が必要なのだろう? 手伝わんでどうする」 「そ、なんだけど……」 「? まぁ良い、さっさと始めるぞ」

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