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罠 1
「トア、僕今日先生に呼ばれてるから先帰ってよ」
「わかった」
いつもの放課後。
「じゃあね」と先に教室を出るティアに手を振って、俺も帰る準備をする。
今日は確かレスも剣術の居残り練習するって言ってたな。
なら1人か……
「はぁぁ……」
最近、エルバと上手くいってない。
授業中の共鳴もしてこなくなったし、水の練習後の時間も何もしない。そのままスルリと消えていってしまう。
多分…俺が泣いちゃったからだよなぁ……
あの日の保健室での出来事。
あれ以降、エルバとの距離がもの凄く空いてしまった気がする。
共鳴する時俺が性的に感じているのが分かって、驚いたよな。
そのくせ「止めてくれ」なんて拒んで終わって、多分気まずいんだと思う。
どうしよう。あんなに共鳴を喜んで、楽しんでくれていたのに。
俺嫌われたんだろうか。
いや、嫌われるのは当たり前か。普通にキモいよな本当。
今更エルバとの契約を解消したところで、共鳴するもの同士どうしようもない。
お互いがお互い以上の相手を見つけることは不可能だ。
でも…それでも、このままなのはいけないと思うし……
「トアスリティカくん」
「?」
振り返ると、クラスメイトが焦ったような顔をしていた。
「メロティアニスに〝トアを呼んできて〟って言われたんだけど、今いい?」
「あ、うん。大丈夫だよ」
ティア? どうしたんだろう……
言伝を頼むくらい、先生に何か大変なことでも任されたのだろうか。
「良かったー」という子に笑って、その後を着いて行った。
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