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「普段のねっ、誠実でいて気品のあるクールな雰囲気もいいんだけど…。それでいて意外と大胆で独占欲も強かったりするから、すぐヤキモチ妬いちゃったりするとこもギャップ萌えというか…。なんと言っても譲れないなが、騎士としてのチート級な強さ!コレがまたヤバいのよ~剣だけじゃなく魔法の腕もピカイチっていうね。それだけでも充分ハイスペックなのに、見た目も超絶美形で非の打ち所が全く無いだなんて…。そりゃもう最っ強としか言えないじゃない!!?」
「は、はぁ……?」
潔くオレを切り捨て、惚れてしまったという男…の事を熱く語り出す、元(?)彼女アリサちゃん。
その姿はまさに恋する乙女そのもの。目を爛々と輝かせ、他の男を想い…頬染める姿を見せ付けられるオレは。
聞いたところ…顔良し性格良し、全てにおいて欠点ナシ…とされる、“るーふぁす様”とやらに抗えるような要素など、あるはずも無く。
泣き寝入り状態で、話を聞き流してたんだけど…。
そんな中でも度々耳を掠める非日常的な言葉に、段々と違和感を覚え。色々とショック過ぎて、思考がまともに働いてはいなかったものの…
ふと浮かんだその疑問を、ぽつりと溢してみた。
「ぇ…ケンに、マホゥ……?」
現代社会にあるまじきファンタジーな用語の数々に。オレは理解が追い付かず、眉を八の字にしては、きょとりと首を傾げるのだが…
なんだろう、段々と嫌な予感がしてきたんデスケド…?
「あのぉ───…アリサ、ちゃん?」
「なぁに?節くん。」
途中からはもう、オレの存在なんぞ忘れたかのよう喋り続けていたアリサちゃん。
なんだか不安は否めないけれども…そこは覚悟を決め、深呼吸ひとつ。
オレは勇気を出して、その一抹の疑惑に…真正面からぶつかってみることにした。
「えっと、その…るーふぁす様って言う人は、一体ドコのドナタなんですかね?」
もしかして外人さんなのかな?…とか。
頭ん中プチパニックなオレは、質問の中身を考える余裕なんてあるわけがなく。
口について出たそれは、なんとも的外れなものとなってしまったが…
対するアリサちゃんは、オレの動揺なんぞ然して気にも留めず。あっさりバッサリ清々しく…答えてみせるのだった。
「何処って…もちろんっ“異世界グローシア”にある“王国フェレスティナ”の守護騎士様に決まってるでしょう?!」
当然じゃない!と言わんばかりに告げられても、ハイそうですか…と納得出来るわけがなく。
いやいや…力説されたところで、全く理解出来ないんだけど?
ぐろーしあ?フェレっ……???
そんな国名、地球上に存在してたっけかな…
「だーかーら~!コ~レよ、コ・レ!」
どうにも煮え切らないオレに対し、焦れったいわね~と。段々と素の姿が露呈してきたアリサちゃんは。
何かを思い出したよう肩に掛けてたバッグを、ゴソゴソと漁り始める。
それから暫くして「あったわ!」と、高らかに声を上げたかと思うと。
勢い良く携帯電話を掲げ…その画面をオレの眼前へと、誇らしげに掲げてみせた。
「こ、れ…?」
ディスプレイに映し出された人物を、如何なものかと目を丸くし見定める。
ソレは確かに、アリサちゃんが語る通りの…イメージ像では、あったのだけれど…
「え、え?…ぅえええ────…!?」
そう。まさかまさかのるーふぁす様は…
剣を携え、凛々しくも柔らかな微笑みを浮かべた…
如何にもナイト様!と言った出で立ちの、それはそれは眉目麗しき青年───では、あるんだけども。
それは生身の人間、などではなく…
どうみても描かれだけ、ペラッペラでまっ平らな、
二次元の中の創られた存在…でしか、なかったのだ。
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