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④
「では参りましょう。」
されるがまま、手を引かれ歩き出す。
ルーファスはオレより遥かに長身で、コンパスの差は歴然なのに。さすが騎士様、歩調を合わせるという気配りをごく自然にやって下さるんだから、スゴイ。
途中、擦れ違う人の好奇な視線に晒されたりもして。
なんとも言えない居心地の悪さを覚え、ルーファスの影に庇われながら歩くこと暫し…。
彼に連れられ、到着したその建物を見上げたオレは。またもや感嘆の声を漏らした。
「ひぇ~…やっぱり生で見ると立派だなぁ…」
「ここは歴代の神子が住まわれたとされる、神子のために設けられたお屋敷です。」
立派な門を潜り庭園を抜け、屋敷の中へと向かえば。ズラリと並んだメイドさんや執事さんに、恭しく歓迎されて。加えて屋敷内の豪奢な造りを目の当たりにすれば、開いた口は塞がらない。
入ってすぐのエントランスホール?は、絵に描いたような広さで。一見シンプルなデザインだけど…柱に施された彫刻や遥か天井に煌めくシャンデリア、そつなく飾られた絵画や装飾品の類いなんかは、いずれも一級品のように見える。
現代人の価値観で考えたら、普通にどれも億超えしそうなほどの眩さだった。
(なんとなく、ゲームで見た背景画に似てるけど…)
所々、あの乙女ゲームで見たことあるような景色を彷彿とさせるが…現物を見るのと、二次元の背景画とでは別格で。何もかもが、一般人のオレにとって馴染みがない世界に思える。
オレが溺れてたらしい湖からは、ここまでの道中で遠目に見えたお城らしき建物や、さっきの神殿だってホント綺麗だったし。例えばアミューズメントパークにあるような…いや、それ以上に本物というか豪華絢爛で。
ルーファスの話だと、あのお城に陛下?…がいるからって、後日謁見するだろうとかなんとか言ってた気がするけども。
オレみたいな平々凡々な人間が、おいそれと行っていいのかなって萎縮しちゃうくらい…遠くからでもそのお城の存在感はスゴかった。
スケールがさ…違うんだよなぁ、実写は…。
「ここは先代神子が最後に住まわれてから、百年以上は経過してますが…」
「へぇ…その割りには綺麗にされてるよね?」
「はい。神子が召喚される周期は、その時々によって多少異なるそうなので。いつ召されても対応出来るよう常に人を置き、管理しておりますから。」
丁寧に説明してくれるルーファスに、オレはそうなんだ~と感嘆して相槌を打つ。
通された客間を見渡せば。
壺だなんだの骨董品が飾られた棚や、高そうな絵画なんかが、やらしくないバランスで配置されていた。
うん…これだけ広いのに、どこを見ても塵ひとつ落ちてないや。
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