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⑧
「はあ───…疲れたぁ~…」
守護騎士達との対面が終わったところで、今後の予定は…となり。
オレがまだ、この世界に来たばかりだというのもあったから。詳しい話は明日にし…親睦を深める意味も込め、その後はみんなで夕食をとることになった。
初対面と言えど、オレは一方的にでも彼らのことを多少は理解してたし。
年齢はそう変わらない男ばかり。
最年少のロロやジーナを中心に会話は弾み、初めての晩餐にしては和気藹々と…思いの外楽しかった。
さすが国が直接管理する神子のお屋敷とあって、出される食事は見たことない物ばかりだけど。
どれもすっごく美味しかったし、食後に案内された大浴場だって、ちょっとした高級ホテルのスパかってくらい立派な造りだった。
オレに用意された部屋に至っても、これまたスイートルームみたいに広く豪華で。特大サイズのベッドは、女子ウケしそうな天蓋付き。
大きなバルコニーから眺める夜景は、まさに壮大で極上と言える眺めだ。
(なんか、色々あったなぁ…)
彼女にフラれ、やっと掴んだ内定は取り消し。
貯金叩いて出た傷心旅行では、鯨に教われ船が転覆。
気付いたら、いきなりゲームと同じような世界に迷い込んでしまっていた。
(いくらなんでも、んなことあるわけ…)
無いだろと。試しに頬を何度かつねって見ても、痛いだけで何も変わりはしない。
もしかしなくても、オレはとっくに溺れ死んじゃってて。“あの世”というヤツに来てしまったのかもしれないけど───…
それは、あまり考えたくないかな…。
(とりあえず、なるようにしかならない、か…。)
オレが神子ってことはだ。
これからの展開は多分、人間にとって脅威である魔族だか魔物だかの力を結界で封じ。この国を、守らなきゃってことだろうけど。
ごく普通の人間なオレに、魔法などという特別な力があるわけがなく。それ以前の問題でオレが神子ってのも、かなり怪しいからなぁ…。
どう考えてもイレギュラーでしかないだろ?
オレ男だし、元よりこの展開が非現実的なわけだし。
一応、守護騎士には神子かどうかを判別する力が、少なからずあるらしいので。最初にルーファスが神子だと確信した時点で、間違いではないそうだけど…。
この短期間で、こうも色んなことが立て続けに起きてしまうと。考えても考えても、一向に先が見出せないから…落ち着きやしない。
(どうなんのかな、オレ…)
現実世界では、ドン底になってしまったオレ。
日常に戻ったところで、なにひとつ今後の保障は無いだろう。
それでも、知れないこの世界で生きるよりかは、マシ…なのかもしれないが。
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