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「はあ───…疲れたぁ~…」 守護騎士達との対面が終わったところで、今後の予定は…となり。 オレがまだ、この世界に来たばかりだというのもあったから。詳しい話は明日にし…親睦を深める意味も込め、その後はみんなで夕食をとることになった。 初対面と言えど、オレは一方的にでも彼らのことを多少は理解してたし。 年齢はそう変わらない男ばかり。 最年少のロロやジーナを中心に会話は弾み、初めての晩餐にしては和気藹々と…思いの外楽しかった。 さすが国が直接管理する神子のお屋敷とあって、出される食事は見たことない物ばかりだけど。 どれもすっごく美味しかったし、食後に案内された大浴場だって、ちょっとした高級ホテルのスパかってくらい立派な造りだった。 オレに用意された部屋に至っても、これまたスイートルームみたいに広く豪華で。特大サイズのベッドは、女子ウケしそうな天蓋付き。 大きなバルコニーから眺める夜景は、まさに壮大で極上と言える眺めだ。 (なんか、色々あったなぁ…) 彼女にフラれ、やっと掴んだ内定は取り消し。 貯金叩いて出た傷心旅行では、鯨に教われ船が転覆。 気付いたら、いきなりゲームと同じような世界に迷い込んでしまっていた。 (いくらなんでも、んなことあるわけ…) 無いだろと。試しに頬を何度かつねって見ても、痛いだけで何も変わりはしない。 もしかしなくても、オレはとっくに溺れ死んじゃってて。“あの世”というヤツに来てしまったのかもしれないけど───… それは、あまり考えたくないかな…。 (とりあえず、なるようにしかならない、か…。) オレが神子ってことはだ。 これからの展開は多分、人間にとって脅威である魔族だか魔物だかの力を結界で封じ。この国を、守らなきゃってことだろうけど。 ごく普通の人間なオレに、魔法などという特別な力があるわけがなく。それ以前の問題でオレが神子ってのも、かなり怪しいからなぁ…。 どう考えてもイレギュラーでしかないだろ? オレ男だし、元よりこの展開が非現実的なわけだし。 一応、守護騎士には神子かどうかを判別する力が、少なからずあるらしいので。最初にルーファスが神子だと確信した時点で、間違いではないそうだけど…。 この短期間で、こうも色んなことが立て続けに起きてしまうと。考えても考えても、一向に先が見出せないから…落ち着きやしない。 (どうなんのかな、オレ…) 現実世界では、ドン底になってしまったオレ。 日常に戻ったところで、なにひとつ今後の保障は無いだろう。 それでも、知れないこの世界で生きるよりかは、マシ…なのかもしれないが。

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