15 / 423
ep.2 女王様の名は①
「おはよう、セツ。」
小鳥の囀り、窓から射し込む柔らかな陽光に誘われて。
「あっ…おはよ、ルーファス。」
目覚めると、朝イチから眩し過ぎるほどの悩殺スマイルが、オレの頭を一気に覚醒させる。
や、不意討ちのイケメンは刺激強すぎるから…
「よく眠れたみたいだな。」
「ん、おかげさまで…」
そうかと笑うルーファスをベッドから見上げ、なんだかほっとするオレ。
昨日は不安もあったけど…こうしてちゃんと朝が来て、ルーファスが目の前にいることが嬉しいだなんてさ。
まだ夢じゃないっていう保証は、ないのかもしれないけどね…。
そのまま、ぼんやりと寝惚け眼で彼を見ていたら…
「セツ…あまりそのっ、無防備な姿で見つめないでくれ…」
心臓に悪いからと、困ったよう目を逸らされてしまった。
ええ…?それはオレの台詞だし────…
…ってまあ、朝から寝起きの野郎にじっと見つめられても嬉しくはないよな…。
「着替えは用意しておいたから。仕度が出来たら、朝食にしよう。」
言われてグ~っとなるお腹に、思わず顔を見合わせて。苦笑するルーファスに、真っ赤っかになるオレ。
恥ずかしさを誤魔化すため、勢い良く寝間着を脱ぎ捨てたら…
「わっ…私は廊下で、待っているから…」
ルーファスはそう告げるや否や、いそいそと部屋を出て行ってしまった。
なんだろ?別に男同士なんだから、気にしなくていいのに。あ…もしかして、こっちの世界じゃ男でもそういう気遣いとかするんだろか?
そういえば初めてルーファスに会った時だって、お姫様みたいな扱いされてたしな…。
まあ、いっか…とりあえず腹ごしらえが先だ。…と急いで着替えを終え、外で待つルーファスの元へ行くと。
エスコート…とまではいかないが、彼に連れられるようにして。オレは階下へと向かった。
ともだちにシェアしよう!