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④
「そのご様子ですと…セツ殿のいらした世界に、私 と同じ顔をした人物が、存在するのではありませんか?」
それはどのような方ですの?と、興味津々な様子で聞いてくる女王様。
さすがは一国の王というか…どんぴしゃりと当ててしまったその洞察力に。オレは言葉を濁しながらも、おずおずと答えた。
「えっと、はい…とっ…友達、です…。」
まさか女王様に向かって『元カノです!』なんて言えるワケがなく。
だって今もずっと、近衛騎士達がピリピリしてんだからさ…。無難に友達だと答えれば、女王様は嬉しそうに笑った。
「是非ともセツ殿の世界や、ご友人のお話をお聞きしたいところですけれど…。それはまた日を改めてお願い致しますわね。」
まずはこの世界に対する、“神子”という存在の重要性と。何故、異世界から召されなければならないのか…を。
本題を語り始めた女王様は一変して、真剣な眼差しをオレへと向けた。
「…───という事でして、神子殿には我が国フェレスティナ、いいえ…このグローシアの世界を、お救い願いたいのです。」
女王様が語ってくれた内容は、ゲームのあらすじと殆ど大差なかった。
グローシアにいる人間には、手にする事が出来ない力。それを扱えるのは、この世界が危機に瀕した時に必ず現れる、他の世界より出でし救世主のみとされている。
その存在を、神が賜 いし奇跡の子…神子であるとし。召喚された神子が、戦う術を持たなかった──要は、オレみたいな非力な一般人だったため。
フェレスティナが国を挙げ神子を助けるための法と、守護騎士という存在を築き。今までずっと、守り続けてきたんだそうだ。
神子が特別な力を扱えると言っても、ゲームと同じで最初はレベル1の赤子状態。代々の神子もオレみたく喧嘩すらしたことないような…大抵がごく普通の人間らしいので。
神子の力が覚醒するまでは、こうして護ってもらわなきゃ…生きていくことすら困難だってことなんだろう。
「確か、神子の力って…」
ファンタジーなゲームにありがちな“治癒の魔法”と、邪悪な力を抑制する“封印術”だったっけ?
一般的なロールプレイングゲームとかだと、マジックポイントさえあれば最終的にガンガン使えるイメージだけど。このゲームでは珍しく、そういった魔法こそが最高難度の魔法って設定で。
基本的には神子だけが扱えるって話なんだよね。
その封印術に関しては、神子独自のものだったし。
「さすが神子殿、良くご存知で。この世界では、火・水・風・土などの精霊魔法の類いならば、ごく身近なものなのですが…」
治癒魔法も使えないわけじゃないんだけれど。
例えば瀕死の人間を全回復させよう!…ってなった場合、それこそ高位の魔導師や僧侶、神官なんかが何人も集まって協力しないと治せないレベルらしい。
まあ…オレからしてみれば、怪我を治せる魔法があるってだけで、スゴイ話だと思うけどね。
ちなみに守護騎士の中で最も魔力が高く、かなり優秀らしいロロでさえも。治癒魔法に関しては専門外だそうで…。
ある程度の怪我を治すくらいしか、使えないんだと言っていた。
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