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⑥
「はぁぁ~…、やっちゃった…」
帰宅後、部屋のベッドにて独り項垂れるオレは。盛大な溜め息を吐き出し、グシャグシャと頭を掻きむしる。
いや、もしコレがゲームでの話だって言うのなら…こういう流れこそが正解なんだろうけどね。
なんていうか、主人公で神子がオレって設定が大問題じゃないかな、やっぱ…。
いきなりこんなことになってしまい。
あんな空気の中、国のトップまで出てきて必死に懇願されたらさ。誰だってガンバリマス!…って流されちゃうよね?
(そもそも…ノーなんて選択肢、選べないんだから…)
神子である前提で、オレはこの場にいられるんだし。もしイヤだなんて言ったら、どんな扱いを受けるか…
考えただけで不安が募る。
だってこの世界では、右も左も分からないんだ。
街の外へ一歩踏み出そうものなら、野盗だ魔物だかがゴロゴロいるって言うんだもん…。
知識も戦う術も、お金も宛も何も無いオレにとっては。今はこうするしか、他に生きる方法は無いと思うんだよね…。
まあそれは、あくまで可能性のひとつであり。
ルーファス達や女王様が…そんなことするようには、全然思えないけども。
「でもなぁ~、どう考えたってムリがあるよなぁ…」
特別頭が良いわけじゃないし、運動神経だって人並み以下。そんなオレが魔法なんて奇跡のような力を、果たして身に付けられるんだろうか───…って、考えただけで険しい道程だって判る。
それでもやるしかない…んだが。こればっかりは、口先だけでどうにかなるようなもんじゃないし。
無い頭を何度捻ったところで出てくるのは…マイナスな思考と、盛大な溜め息くらいしかなかった。
「はぁ~…この際、ルーファスにでも相談してみようかな…」
こんな時に思い浮かぶのは、やっぱり頼れる騎士様ルーファス様。
男のクセに、すぐ誰かを頼るとか情けない話だけど。今はそんな次元の話じゃないんだから…形振り構ってらんないよね。
「…うん、やっぱそうしよう!」
「私に何が聞きたいのだ?」
「んぎゃああああ────!!…って、るっ…また、なん…でぇ!?」
昨晩同様、ベッドの端に座り。独りウンウンと百面相していたら…すぐ目の前にルーファスがいて。
ビックリして悲鳴を上げれば、口元押さえ苦笑されてしまった。
ちょ、不意打ちはホント心臓に悪いんですけど…?
「すまない、また私の名が聞こえたもので…な?」
ううっ…ルーファスみたいな超絶イケメンが、悪戯っ子みたいな笑み浮かべて謝るとか反則技じゃんか!…とか言いつつ?
別に嫌だったわけじゃないから、良いんだけどさ…。
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