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「まだ始めたばかりなのだから、焦る必要は無いだろう。」 ゆっくり自分のペースでやればいい。 そう言って優しく微笑むルーファスに頭をぽんぽんされて。幾分、気持ちも楽になった。 イケメンの癒し効果か、ついつい顔が弛みそうになるけど…。 「そうそう、セツは来て間もないのだし。まずはこの国の生活に慣れてからで良いと思うよ。」 アシュレイも大人びた笑みで励ましてくれる。 ナンパなイメージだけど、そういうのも気配り上手だからこそなんだと思う。 普段は飄々としてるけど、やることはきっちりやってるみたいだし。稽古中も一番落ち着いてるから、頼れるお兄さんって感じするもんね。 「さあ、せっかくのお茶が冷めてしまうよ?」 今は難しい事は抜きにして、暫しの休息を楽しもうじゃないか。そう言ってアシュレイは、カップにお茶を継ぎ足してくれた。 「ん、ありがとう。」 ケーキにクリームをたっぷり付け頬張れば、自然と顔が綻んで。甘い香りが鼻孔を抜け、ふわりと広がっていく。 ん~ホント美味い! やっぱ頭使った後の甘味は、格別だよな~。 「ふふ、セツはとても美味しそうに食べるんだねぇ。」 幼子に向けるような微笑を浮かべながら、アシュレイがオレの顔を覗き込む。と… 「ほら、口元にクリームが付いているよ?」 徐に手を伸ばしてきて。 「んっ…」 「ふふ、ごちそーさま。」 「なっ…!」 気付けば長いその指で、オレの唇を拭われて。 彼は迷わずクリームが付いたその指を…ペロリと舐めてしまった。 なんだこの色気… 思わず目を丸くし固まるオレ────…と。 何故かしかめっ面で、勢い良く椅子を倒しながら立ち上がった……ルーファス。 ロロとジーナに至っては、いつの間にやら園庭に降り。キャッキャとその辺を走り回っていた。 「どうしたんだい、ルーファス?急に取り乱して。」 「い、いや…」 アシュレイに問われ、どこかぎこちない様子のルーファス。オレも茫然としたままで、未だに動けずにいて。 それを見たアシュレイは、くすりと妖艶に笑う。と… 「セツは本当に可愛いなぁ…」 “食べちゃいたいくらい───…” 冗談ぽく言い放たれたアシュレイの台詞に。 一度は座り掛けたルーファスが、またもや盛大に椅子を吹っ飛ばすと… 今度は憤慨した様子で立ち上がった。

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