31 / 423

「ま、てっ…ルーファス、痛い…ってばっ…!」 グイグイと力強く腕を引かれ、庭園奥の林の中まで走らされる。 ルーファスは我を忘れているのか、握る手には更に力が込められて…。痛くてオレが悲鳴を上げたところで、ようやく立ち止まってくれた。 「私としたことが、取り乱して…すまない…」 緩められた腕を見やれば若干赤みがさしており。ルーファスは眉を潜め、申し訳なさそうにオレの手を労る。 「…いいよ別に。それより、ごめん…オレの所為で、変な空気にしちゃってさ…。」 まさかあんな話になるとは、思ってもみなくて。 ルーファスは人一倍真面目な性格だから。 ああいう下品な話題…いわゆる下ネタが、苦手だったのかもしれない。 「アシュレイとも、ケンカみたいになっちゃったし…」 軽い印象を与えてるけど、アシュレイは決して悪いヤツじゃないと思う。 最年長だし、さりげない気配りとか…基本的には紳士だし?みんなに稽古つけてる時とかは、頼れる先輩って感じで。良い雰囲気だったんだ。 けど…なんでかなぁ? オレの前でだと態とらしくルーファスに意地悪したり、突っ掛かったりするから。 やっぱり何処か掴みどころがないっていうか。 謎が多いヤツだよなぁ…。 「やっぱオレの所為、だよな…。」 「違うんだセツ…すまない、お前は何も悪くはないのに…」 売り言葉に買い言葉で、熱くなり過ぎてしまったと。頭を下げるルーファスは、優しくオレの手を包み込む。 「いーよ、むしろ助かったし…。」 冗談なんだろうけど、アシュレイは男でもオレが相手なら抱いても良い───…みたいなことを言ったんだよね? いきなりそんなコト言われたらさ…正直、反応に困るだろ?それに、あのままだと口喧嘩じゃ済まなくなりそうな雰囲気だったし…。 だから内心ほっとしたんだって、苦笑混じりに告げれば。ルーファスは、なんだか思い詰めたような表情を浮かべ…目を伏せてしまった。

ともだちにシェアしよう!