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(…ルーファスは、どう…なのかな…) ふと思い出したよう、扉の向こうにいる守護騎士を想像して。湯で火照った身体が、更に熱を帯びていく。 や…例えばの話、だよ? ルーファスなら、どんな反応すんのかな~…ってさ。 考え出したら、妙にそのことが頭から離れなくなり。胸の奥が締め付けられたよう、ぎゅっと苦しくなってしまった。 アイツは優しいから。 正面切って拒絶とかはしないだろうけど… 「やや…それこそ無いわ、ないない!」 自分で全否定しておいて、ヘコむオレってどうなの?…って、恥ずかしさからツッコみたくなるし。 アイツが絡むと、なんか調子狂っちゃうからヤダ…。 そんな調子で、鏡に映る己の貧相な身体を眺めながら。ブツブツと独り言を呟いていると… 「セツ、何かあった────…の、か…」 遠慮がちに開かれる扉の音に。 弾かれ振り向けば、バチリと目が合う。 「あっ…その───…」 気まずい空気に固まる双方。 言い訳もみつからず目を泳がせれば… ルーファスの視線が、無意識にも一点に注がれて。 釣られて見やれば…それはオレが唯一腰に巻き付けている、タオルであり。今にもソレがずり落ちそうだと気が付いた瞬間、現実へと引き戻された。 「わわわっ…!!」 「す、すまないっ…!」 真っ赤になってタオルを押さえ、その場にへたり込むオレに。慌ててドアを閉めるルーファス。 ちょ、今の見られて……た? (うっわ~…なんだコレ…) 恥ずかしっ…や、別に自分から風呂に誘ってたわけだし?男に裸見られたぐらい、なんてことないハズなんだけども…。 さっきまで考えてたこととか、醜態を晒した相手がルーファスってだけで。なんとも言えぬ感情が熱を上げ、落ち着かなくなるから…。 そうなるとオレはもうパニック状態、(たちま)ち冷静でなどいられなくなった。

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