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(ど、どうしようっ~…!?) 恥ずかし過ぎてヤバい… この後どんな顔して出てけばいいんだよ~? と、とりあえず服を着なきゃ───そう思いつつも、情けないかな…オレはタオル一枚でオロオロするばかりで。 何も出来ないまま、その場で立ち往生していると… 『セ、ツ……?』 扉越しに、おずおずと名を呼ばれたことに。 ドキリとして、心臓が飛び跳ねる。 『その……具合でも、悪いのか?』 「ふぇっ!?…あ、いや…」 きっとオレが、なかなか風呂から出てこなかったもんだから。心配して、見に来てくれたんだろうけれど…。 タイミングがタイミングなだけに、どう対処していいのか判らなくなり。 とりあえず返事だけは、したものの… 『そうか……なら、いいんだ…』 安心したのか、扉の向こうからそう返されて。 オレは慌てて服を引っ掴み、モソモソと着替え出す。 気まずいけど、心配してくれてるルーファスを、これ以上待たせるわけにもいかないから…。 オレは意を決して、脱衣場の扉を開けた。 「ごめんっ、遅くなって…」 「いや…気にする必要はない。」 ルーファスも心境は同じようで。 目が合うなり、お互い赤面しては逸らしてしまう。 そのまま暫し、妙な沈黙が流れて… もじもじしながら目を合わせては逸らすをの、ふたりで何度か繰り返してた。 「やはり、どこか具合が悪いのではないか…?」 気まずさにルーファスから話を振られ、びくんと反応するオレは。そんなことないって、首を振るのが精一杯。 「そうか…鏡で身体を、見ていたから。どこか具合が悪い所でもあったのかと思ったのだが…」 (やっぱり見られてんじゃーん…!!) 思わず発狂したくなりそうなのを、必死に堪え俯く。 いやいや、端から見れば相当奇妙な行動だよね… 男が真剣な顔して、ボディチェックとかさ。 しかもそれを、ルーファスに見られちゃうだなんて…オレ、恥ずかしさで今にも死んじゃいそうだよ… 「あっ、あれはっ…アシュレイが変なコト言うからっ…」 都合のよい言い訳も見当たらず。 苦し紛れに口から出てしまったのは今一番、出してはいけなかった名前で… 判りやすく反応を示したルーファスは、露骨に表情を曇らせる。 「妙なこと、とは…」 「ふぇっ?だからそのっ…オレを抱ける、とか…」 自ら墓穴を堀り進み、地雷を踏んずけるオレは。 幾ら悔やんだところで、既に後の祭りなんだと思い知らされる。 だからルーファスに、この話題はダメだって…さっき学習したばっかなのに。 オレってば、なにやってんだろ…。

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