40 / 423
②
「はあ~…やっぱ情けないよなぁ…」
世界を救う事を代償に、神子であるオレを守護騎士が命懸けで守ってくれる。
突然連れて来られた世界を救えと言うのだから、それは当然の権利なのかもしれないが…。
このまま、おんぶに抱っこ状態で過保護にされ続けるってのも…なんだか居たたまれない。
ここの暮らしだって、自由に外出は出来ないものの。充分過ぎるぐらい快適に、贅沢までさせてもらってるんだもんな…。
「ま、お前は神子なんだから。そこまで気にしなくてもいいんじゃねーか?」
そういう言い方されると、なんか傷付くし…。
だってもし神子じゃなかったら、オレに価値が無いみたいだろ?
ジーナに悪気は無いから、なんも言えないけど…。
「うんうん!セツは、もっともっとい~っぱい、ボクらに甘えていいんだからね!」
ロロみたいな年下で愛らしい子に、オレが甘えるなんて…。こう見えてもオレ成人済みだし?───…って、そういえば初めてみんなに年齢を教えた時、メチャクチャ驚かれたっけ。
そんなびっくりされるほど、童顔だとは思ってなかったんだが。
「や…オレも一応大人だかんね?少しは自立しとかねーと。いつまでも甘えてらんないしさ。」
それでもロロは納得してくれず。 ぎゅぎゅっと腕に抱き付いてきて。
「いーのいーの!だってセツ見てると、なんだか守ってあげたい!ってなるんだもーん!」
「あ~解るわ、それ。セツって力も弱ぇし、どっか危なっかしいつうかさ…妙にほっとけね~ってなんだよな~。」
「ええ~!?」
ロロの発言に、うんうんと頷くジーナ。
オレは、あり得ないだろ~と…半ば呆れ気味に笑い飛ばすんだけど。
「こないだアシュが言ってたでしょ?セツは男の子だけどさ。なんとなく解るもん、ボク。」
うええ…!?それってまさか、ロロまでがオレを押し倒しちゃうって事デスカ…?
「セツはさ、警戒心無さ過ぎじゃん?アシュにも簡単に気ィ許して、やられ放題だし…。なーんか無意識に、色気みたいなのを振り撒いてんだよなぁ。」
「そそっ。あの真面目なルーですら、セツにキュンキュンしちゃってるみたいだし~?」
ね~!っと息ぴったりな年少組に。
不意打ちでルーファスの名を出され、何故かドキリとさせられる。
「はは…おっ、オレが色気振り撒いてるとか、無いわ~…」
こんな扱い、男のオレにとっては前代未聞。
しかしどう対処して良いやら、正解が判らず反応に困ってしまうから…。オレは誤魔化すよう、手をブンブンと振りながら軽く受け流すのが精一杯。
なのに年少組は、バッサリと切り捨てる。
「んや!スッゲェ出てっぞ~、お前からフェロモンみてぇな何かがな。ついでに言うと、メッチャ良い匂いするし…」
言ってジーナに首辺りをクンクンされ、たじろぐ。
「だよね~!あとセツはさ、女の子みたくキレイにして…可愛い服とかで着飾ったらさ。スッゴク似合うと思うんだよね~!」
キャハッ☆なんて無邪気に笑うロロに。
それはこっちの台詞だと、全力で叫びたいところだが…。
これは子どもの他愛ない戯れ言なのだと。
オレはあくまで大人の余裕で以て、さらりと躱そうとするのだけど…
「お!それ名案じゃね?」
何故かジーナが食いついちゃったもんだから。
「えぇ…なに、ふたりとも…」
なにやら悪戯を思い付いたふたりは、目配せしてオレににじり寄る。と…
「ちょ、待っ────」
「そうと決まれば、行こっかセツ?」
「フヒヒ…ちなみに拒否権は、ねぇからな?」
綺麗な顔で、悪どい笑みを湛えたふたりに両腕をガシリと拘束され…。
オレはズルズル何処ぞへと…強制連行されるのであった。
ともだちにシェアしよう!