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③
「カンッペキだね!」
「すっげ~…意外とバケるもんなんだなぁ──…」
あれから年少組に笑顔で拘束されたまま、有無を言わさず屋敷の中へと連行されたかと思えば…。
お勤め中のメイドさん達を数名ひっ捕まえ、ふたりが彼女らにコソコソ耳打ちし始めて。
メイドさんはニコニコしながら『かしこまりました!』…と声を揃えて、なにやらを快諾。
そんな彼女らの助力(?)を得て。
オレは、踏み込んではいけない領域へと…誘 われるのであった。
『セツ様…とってもお似合いですわ!!』
メイドさん達から口々に称賛されても、オレとしては複雑極まりないわけで。…てか、主に下半身が…ピラピラして心許ないというか、落ち着かない。
みんなには穴開きそうなぐらい、めちゃくちゃ見られてるし…。
「オレもう男として、完全に自信無くなったわ…」
「あらあらそんな~勿体ないですわ、セツ様!」
…ここのメイドさんて、なんだかノリが女王様と似てる気がするんだけど、気のせいかな?
みんな揃ってオレの哀れな様を見ては、キャッキャッと黄色い声を上げて。素敵だの可愛いだのを連呼してくるんだが…。
女の子達からの、絶大なる賛辞だというのに。
全くもって喜ばしくないのだから……泣きたい。
「大丈夫だよセツ!お世辞とかじゃなくて、ホンット~に可愛いんだから!」
「そうだそうだ。コレならルーやアシュだって、更に惚れること間違いなしだぜ?」
何故そこで、ルーファス達を惚れさす話になっちゃうんだか…。
まあ、これがあのゲームと同じ仕組みならばだ。
神子が守護騎士と恋をし、結ばれる───というのも、選択肢としてアリな展開なんだろうけど。
…てか、こんなシナリオ展開そもそも存在してなかったし!
ゲームと同じだと思ったのなんて、それこそ登場人物とか、冒頭の一部分のみ。後はもう、比べる余裕もないくらい…予想外な展開ばっかだったんだから。
こんな風にね…。
「なあなあ、せっかくだしルー達にも見せてやろうぜ?」
「賛成~ボク、みんなを呼びに行ってくるよ!」
オレが独りこの瞬間に何か大事なモノを失い、傷心しきってる隙に。ふたりがとんでもないことを言い始めて…。
目敏く気が付いたオレは、あたふたと拒否反応を示す。
「やっ…やだよ!そんなの、絶対ムリ~!!」
特にルーファスには、こんな情けない姿を晒すわけにはいかない。
だってだって…!今のオレは聞いて驚くなかれ。
ナチュラルなものではあれど、一応顔にはひと通りの化粧が施されており。
加えて可愛い服…ということで。急だったこともあり、メイドさん達が着る制服…所謂メイド服なんぞを着せられてるもんだからさっ…!
しかもだ。ここのメイドさんは、キッチリ清楚な黒タイツ着用なのにも関わらず。
オレにだけは、どっから持って来たのか激レアアイテムなニーハイソックスを履かさせるという拷問ぶりで。
…てか、オレのメイド服だけ明らかに丈が短い気がするんだけど。
そのおかげで、本来萌えポイントなハズの絶対領域が。自分のモンだと思うと、イタイとしか言い様がないわけでして…
オレなんかに女装させるとか、ホント何考えてんだこの人達?
ほんとヤバいってば…こんな格好アイツに見られたらオレ、今度こそ羞恥心で瞬殺される自信あるわ…。
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