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「え~見せないなんて、勿体ねぇじゃんか~。」 「そうだよ~。ルーとか絶対に喜ぶと思うけどなぁ。」 オレが必死に両手を合わせて懇願しても、ふたりは聞き入れてくれず。それどころかメイドさん達まで仲間に加わり、逆にオレを説得しだす始末。 ううっ~、いくらメイドさん達からのお願いでもだ…こればっかりはマジで無理だっつうの!!! 「あっ、逃げやがった!」 「セツ~待ってよ~!!」 耐えきれず部屋を飛び出すオレは。 さっきのへなちょこ振りはどこえやら、脱兎の如く俊敏な走りで廊下を駆け抜ける。 そのままだだっ広い屋敷内を疾走し… 無我夢中、難を逃れようとしたのだけど──── 「わわわっ…!!」 「っと…!せ、セツ…?」 こういう時に限って…一番会いたくないヤツにこそ、巡り合ってしまうもので。 廊下を曲がった先、ルーファスと出会い頭にぶち当たる。 そうなれば回避不可、次には少女漫画のフラグパターンよろしく────な展開になりそうなものだが。 この場合は、相手が守護騎士のルーファスだったため。衝突して倒れるなんてことにはならなかった、んだけど… 「大丈夫、か…?」 「うう…」 急に止まろうとしたオレは、足を取られルーファスの前で転倒。あわや顔面から床に激突───…のところを、咄嗟にルーファスが抱き止めてくれたため。幸いにも、大事には至らず。 しかし今、現在進行形で。逞しいその腕の中に、すとんと収められてしまうのであった。 「その…セ、ツ…?」 悪あがきにも、俯き隠すようルーファスの胸に顔を埋めれば…。バレバレだぞと言わんばかりに、名を呼んでくるルーファス。 自らルーファスという名の地雷を踏んでしまったオレは、毎度お馴染みパニック状態。 忽ち心臓はバックバク、頭ん中は真っ白になり…。 返す言葉も何も浮かばぬまま、ただただ黙りを決め込んだ。 てか、早く逃げなきゃ……もう、それしかない! 「待ってくれ、セツ!」 隙をついてルーファスの腕の中から、脱け出そうと試みるも… 予想通りだか、力では全く以て歯が立たず。 逆に手首を掴まれ、強制的に顔を拝まれてしまう。 「やはり、セツ…なのだな…」 驚いたと、独り言のように告げるルーファスの声に。オレの心臓は大袈裟なくらい跳ね上がる。 そうすると恥ずかしいからなのか…オレはすぐ泣きそうになるから、イヤだ。

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