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④
「え~見せないなんて、勿体ねぇじゃんか~。」
「そうだよ~。ルーとか絶対に喜ぶと思うけどなぁ。」
オレが必死に両手を合わせて懇願しても、ふたりは聞き入れてくれず。それどころかメイドさん達まで仲間に加わり、逆にオレを説得しだす始末。
ううっ~、いくらメイドさん達からのお願いでもだ…こればっかりはマジで無理だっつうの!!!
「あっ、逃げやがった!」
「セツ~待ってよ~!!」
耐えきれず部屋を飛び出すオレは。
さっきのへなちょこ振りはどこえやら、脱兎の如く俊敏な走りで廊下を駆け抜ける。
そのままだだっ広い屋敷内を疾走し…
無我夢中、難を逃れようとしたのだけど────
「わわわっ…!!」
「っと…!せ、セツ…?」
こういう時に限って…一番会いたくないヤツにこそ、巡り合ってしまうもので。
廊下を曲がった先、ルーファスと出会い頭にぶち当たる。
そうなれば回避不可、次には少女漫画のフラグパターンよろしく────な展開になりそうなものだが。
この場合は、相手が守護騎士のルーファスだったため。衝突して倒れるなんてことにはならなかった、んだけど…
「大丈夫、か…?」
「うう…」
急に止まろうとしたオレは、足を取られルーファスの前で転倒。あわや顔面から床に激突───…のところを、咄嗟にルーファスが抱き止めてくれたため。幸いにも、大事には至らず。
しかし今、現在進行形で。逞しいその腕の中に、すとんと収められてしまうのであった。
「その…セ、ツ…?」
悪あがきにも、俯き隠すようルーファスの胸に顔を埋めれば…。バレバレだぞと言わんばかりに、名を呼んでくるルーファス。
自らルーファスという名の地雷を踏んでしまったオレは、毎度お馴染みパニック状態。
忽ち心臓はバックバク、頭ん中は真っ白になり…。
返す言葉も何も浮かばぬまま、ただただ黙りを決め込んだ。
てか、早く逃げなきゃ……もう、それしかない!
「待ってくれ、セツ!」
隙をついてルーファスの腕の中から、脱け出そうと試みるも…
予想通りだか、力では全く以て歯が立たず。
逆に手首を掴まれ、強制的に顔を拝まれてしまう。
「やはり、セツ…なのだな…」
驚いたと、独り言のように告げるルーファスの声に。オレの心臓は大袈裟なくらい跳ね上がる。
そうすると恥ずかしいからなのか…オレはすぐ泣きそうになるから、イヤだ。
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