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⑤
「その…これは、一体…」
そりゃ気になるよね…。
男のオレが、何がどうして女装なんかしちゃってんのかって。
…や、オレだってマジ解んないんだけどね!
「コレは、だなっ…」
しどろもどろにちろりとルーファスを盗み見たら、ばっちりと目が合っちゃって。
オレが真っ赤な顔で、うるうる泣きそうになってたもんだから。プイッと目を逸らされ、地味に傷付く。
そうなるのは解ってたけど…。
あからさまに拒絶されたんだって思ったら、
なんかすっごくショックだ…
「やっぱ気持ち悪い、よな…コレっ…」
涙を必死で堪えてたら、声が上擦ってしまい情けないもんになる。
それでも、なるべく気丈に振る舞ってたけど。
さっきから全く目を合わせてくれなくなったルーファスの態度に。オレの心はもう…すぐにでも折れてしまいそうだった。
「違っ…そうではない!」
落ち込むオレに、慌てて頭 を振るルーファス。
じゃあなんなんだよって、ムッとしながら見上げたら。ホラまた目ぇ逸らすじゃんか…。
「だから、そうではなくて…。むしろ、だな…」
何と言って良いのか、必死で言葉を探そうとするルーファスに。
気持ち悪いなら、はっきり言ってくれよ!…と、
投げやりな覚悟で身構えてたのだが。
「…綺麗、だ…とても。」
回りくどいことはやめ、飾らぬ言葉で紡がれたソレは…予想してたものとは、全く異なるもので。
あまりの衝撃に、オレの思考は見事に機能しなくなる。
「え…な、おまっ…」
「嘘ではない、今のセツは────…いや、元より魅力的だとは思っていたのだが…」
いつにも増して美しい────…だなどと。
なんとも歯が浮くような台詞を。
ルーファスは一点の迷いも無く、平然と言ってのける。
毎回思うけど…コイツってば、ホントこういうコト…しれっと不意打ちやってくれるよな。
「バッカ…言うなよっ…」
すっげぇ恥ずかしいじゃんっ!
…なのに嬉しいとか思っちゃってる、乙女な自分もいて。
つい目頭が、熱を帯びる。
「セ、ツ…」
しかもルーファスは、このタイミングで天然タラシを容赦なく発動させ。オレの肩を抱き寄せながら、うっとりした瞳で名前まで囁いてくるもんだから…。
何かに流されそうなオレの心臓は、破裂寸前。
このままどうなっちゃうのってパニクってたら───…
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