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「貴方には、まだ自覚というものが足りないようですね。」 はあ~…とウンザリしたような態度を見せつけるヴィンセント。じろりと睨まれ、思わずたじろぐ。 「以前にもお話ししたでしょう?神子がこの世界にとって、如何なる存在かを。」 今のところ神子が召喚された事実は、まだ公には知らされていない。 一応その事実を把握してるのは、ここにいる守護騎士達と女王様や要人、あと大神殿の人達に一部の使用人…くらいだけど。 噂なんてすぐ広まるし、意図して隠してるわけでもなかったから。実際はもっと認知されてるだろうと、ヴィンセントは言う。 神子を心から崇拝する者ばかりなら、それほど過敏になる事でもないだろうけど…。現実はそう生易しいものではなく。敵だって単純に魔族だけとは限らないから、厄介だ。 「残念ながら…世を脅かそうと企む輩は、絶えることなど無いのですからね。」 「そりゃ、解ってるけどさ…」 じゃあオレは、ずっとここに閉じ込められたまま。外の世界を知ることも許されず粛々と、与えられた使命だけを全うせよと言うのだろうか? ルーファスやみんなの事を少しずつ知って、神子として頑張ろうって決めはしたけど。 それはちょっと、違うかなって思うんだよな…。 腑に落ちないと不満を溢すオレを見て。 ヴィンセントとルーファスは、どうしたものかと顔を見合わせる。と… 「…分かりました。そこまでおっしゃるのなら、外出を検討致しましょう。」 「え…?いーの?」 仕方ありませんねと、折れるヴィンセントにオレは表情を緩ませる。 「ヴィン、良いのか?」 「元より陛下の許可は下りてますし。何より彼を…我々の都合で縛り続けるわけにも、いかないでしょうから。」 「それは…」 確かにその通りだが…と。 未だにオレが城下に行くことを、快く思っていない様子のルーファスは。珍しくも、渋い顔をしてヴィンセントに食い下がる。

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