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「はぁ~…さすがに疲れた~。」 「ずっと歩き通しだったからな。」 広場の噴水にあるベンチに腰を落ち着け、一休みする。 あれから色々な店を忙しなく巡り、路上で披露してた大道芸なんかを眺めたりして。 束の間の自由ではありながらも、念願叶ったオレは…それを大いに満喫しまくっていた。 「他に見たいものや、欲しい物はあるか?」 「やや…もう充分奢ってもらったから、いーよ!」 ここまで散々お金出してもらったし…やっぱ悪いじゃんか。 ルーファスは優しいから。 オレが手に取った物とか、少しでも気に入った素振りを見せると。それこそ全部買ってくれそうな勢いだったもんだからさ…。 これが恋人同士…とかなら、解らなくもないけど。 さすがに男のオレが、ルーファスから指輪だのアクセサリーだのプレゼントしてもらうってのは。ちょっとヘンなんじゃないかなぁってね…。 (恋人、か…) そこでふと、ひとつの疑問にぶち当たる。 ここへ来てからひと月近く…オレとルーファスは、 あの屋敷でみんなとずっと一緒に生活してるのだけれど。 コイツにだって当然、今まで暮らしてた家があるわけで。それまでの生活とか、交友関係だとか…きっと沢山あったんだろうなって、しみじみ思う。 (いたりすんのかな、やっぱ…) 急に何故だかが、無性に気になって。 すぐ隣りに座る、ルーファスの横顔を盗み見る。 こんだけ男前で、性格も良ければ。 女の子達から、それはそれは持て囃されされ…人気を博してきたんだろうなぁと。 実際、宮殿や神殿に行く道すがら出会う、ご令嬢方や女官達。屋敷のメイドさんからも、よくチヤホヤされてたしね…。 まあ、ルーファスがアシュレイみたく女遊びしてるとこなんて、全く想像つかないけども。 実家はちょー有名な家柄のお坊ちゃんらしいし? それなら、親が決めた許嫁とか…いても可笑しくないんじゃないかな…。 「どうした、セツ?」 「えっ……あ、ううん…!」 盗み見てたのがバレてしまい、慌てて(かぶり)を振るオレ。 てかさ…ルーファスに恋人がいようがいまいが。 男のオレには、全然関係無いじゃん────… ないんだけど…さ。 なのになんで、コイツのこと考えるだけで。 こんなに胸が、ぎゅぎゅうって…苦しくなっちゃうんだろう…?

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