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(人が多いな……) 騒ぎの野次馬でごった返す通りは、思いの外歩きにくく。なかなか前へ進めず、早々に足止めを食らってしまう。 唯でさえ見通しの悪いフードを、目深に被っていた所為もあってか…余計に周りが見えなくて。 混雑する中を必死で掻き分け、ルーファスの姿を探した。 「わわっ…!」 ルーファスを追って来たことを、若干後悔し始めた頃…。不安というのは大体的中するもので。 犇めく人波に、いとも容易く拐われていくオレは。意思とは真逆に…あれよあれよと道の隅へと押し流される。 そうして気付いた頃には、薄暗い路地裏へと吸い寄せられるようにして。勢い良く弾き出されてしまうのであった。 (う、わぁ…) 闇の世界は表裏一体。 光ある場所には必ず存在するもなのか。 活気に溢れ、賑わう大通りを一歩踏み違えただけで… 「んだ、テメェ……」 人は一瞬にして、命の危険に晒されることとなる。 「お前…ここが俺らのシマだと知らねぇのか?」 ああ?とヤクザみたいに厳つい顔の男が1人また1人と、何処からともなく湧いて出てきて…。 気付けば退路も阻まれ、あっという間に取り囲まれてしまう。 「女……じゃねーのか?」 「ひッ…」 腰が抜けて、立てずにいると…。近付いてきた男に、グイと顎を掴まれて。 男だと判れば忽ち不機嫌になり、舌打ちと共に地面へと唾を吐き捨てられた。 ざっと見ても10人以上…どの男もオレより遥かにデカく、強そうで。ガタガタと震えながらも、本能的に逃げ場を求め…必死で辺りを見返す。 …と言っても、視界は既に四方全部を囲まれてるんだから。逃げ場も何も、あったもんじゃ無いんだけど…。 「おい、ちょっと待て。」 なるべく正体がバレないよう、フードを目深に顔を伏せ。どうにか遣り過ごさなきゃって思ってたのに。 ひとりの男が何かに勘づき、ズカズカとオレの方へ近付いてくる。 …────と、いきなりローブに付いてたフードを乱暴に鷲掴まれてしまい。 オレが抵抗する間も与えられぬまま… は呆気なく、晒されてしまうのだった。 「コイツ、黒髪じゃねぇか…!!」 オレの顔…いや髪色を見るなり、ざわつき出す男達を前に。絶体絶命…これはかなりヤバいんじゃないかと、内心冷や汗を流す。 「最近神子が現れただなんて噂話が、色々と飛び交ってたが…」 下卑た笑みを湛え、オレを舐め回すかのよう値踏みする男達は。更に豹変し、血生臭い獣のような本性を露にする。 「ッ…いッたぁ…!」 するとコイツらのボスらしき男が前に出て、顎で合図を出せば…。 すかさず背後に控えてた奴らに、腕を拘束されてしまい。背中でグイと捻られるオレは…苦痛に思わず、声にならない悲鳴を上げた。

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