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⑩
「コイツは驚いたな…。まさか本物の神子を拝める日が来るとはよ。」
気持ち悪い─────…
なんて目で、オレを見るんだろう。
蛇に睨まれた蛙か、追い詰められた鼠か…血走った男達の視線に堪らなくなり、全身へと鳥肌が走る。
これは多分、マジでヤバい。
なんとかして逃げ出さなきゃ、このままだとオレは────…
「だが神子が野郎だって噂まで、本当だったなんてよ…」
「ッ…!!」
グイと髪を掴まれ、無理やりに上を向かされて。オレが神子である証を確かめるよう、遠慮なく揺さぶられる。
痛みと恐怖に駆られるオレの身体は、無意識に震え始め…耐えきれず、目頭がじわりと熱くなっていった。
「…で、どうすんだ?野郎でも意味があんのか?」
前例の無い噂話では信憑性が薄いのか…男達の中には、まだ疑う者もいたけれど。
こういう輩にとって事の真偽なんてものは、然して問題ではないようで…
「ああ?せっかくの獲物なんだぜ。そんなことは、」
“試してみればいい────”
言って男はニヤリと笑い、オレをまざまざと見下ろした。
瞬間、その場にいた者が皆、オレを獲物であると再認識して。
「ああっ…!!」
我先にとばかりに、狩猟を開始する。
(いやだッ…助け、てっ…!)
痛い、怖い────…
抵抗しようにも…屈強な男達を前にしたオレは、あまりに無力なもので。
為す術無く、いとも簡単に纏う服を引き裂かれる。
(ルーファスっ…)
さっきまで、ふたり街を巡って…あんなにも楽しかったのに。
どうして、こうなってしまったのか。
誰に問うも、それが自ら招いた結果なだけに。
ただただ悔しくて、涙が溢れる。
(こんな、やだよッ…)
男のオレが、行きずりの男達に犯される────…
そう考えただけで、なんだか吐き気を催 して。
オレを蝕もうとする男達の手は、べっとりと肌を虫みたく這い回り…身体は拒絶反応しか示さないから…
ルーファスに触れられた時は、とてもあったかくて心地良く。何より優しかったのに…
私欲でしかない一方的な暴力は。
ただただ苦痛でしか、なかったんだ。
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