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(やッ…ルー、ファス…) ごめん…あれだけお前が、オレの身を案じて忠告してくれてたのに。平和ボケしちゃってるオレは、ちっとも解って無かった…。 こうなるかもしれないって予感してたから。 お前やヴィンセントが、最後まで反対してくれてたんだって…なのに。 (ルー…ルーファス…) 助けて…イヤだよ、オレ… お前以外のヤツにこんなコトされんの。 もう、絶対に我が儘なんか言わないし。 約束も破ったりしないからさ。 (ルーファス…!) 目の前の苦痛から逃れたいと願えば願うほどに。 頭に浮かぶのは、唯ひとりルーファスだけで。 ひたすらに彼を想い…心の中で名を叫ぶ。 会いたいよ、今すぐに。 こんな欲まみれな奴等じゃなくて、オレは…お前にだけに触れてもらえたらいいのにって。 一心に、彼のことだけを。想い描いたなら─── 「おい、コイツなんだか様子が────」 それはひとたび力を得て。 奇跡をも、呼び覚ますんだ。 「あ…」 突如オレの全身から、淡い光が放たれて。 その不可思議な光景に、目を奪われた男達は。 一瞬だけ尻込みし、オレを掴む手を引っ込めたのだが… 「やっぱり、間違いねぇようだな…」 コイツが正真正銘の“神子”である…と。 奇跡の断片を垣間見た男達は、ニヤリとほくそ笑み。より強い欲を、剥き出しにする。 「ひッ…」 奇跡と言えど、何かが起こるでもなく。 もたらされた変化は、ただ身体が発光するのみのようで…。 男達に多少の迷いはあるものの。 大した抑止には繋がらず、オレは再び窮地へと立たされた。 (くそッ…) 元恋人に言われ続けた事が、今更になって思い知らされる。 この世界に来て、どんなに決意を固めても。 オレという人間の本質は、とことん中途半端でしかないのだと。 やっぱ、ダメだな。こんなんじゃオレ、 アイツにだって認めてもらえるわけないじゃんか… (ルーファス…) ああ、オレ…解った気がする。 いや違うな… ほんとは知ってたんだ、最初から。 (ルー…ファス…) あり得ないと思い込んでた。 この世界自体、充分あり得ない話だけどさ。 (ルー…) 神子だって言われて。 お前のためになら、頑張ってみようかなって思えた。 けど、それじゃあ神子としてでしか、自分の価値を見出だせないような気がして… 不安もすっごくあったんだ。 だからお前やみんなが、オレを神子としてだけじゃなくて。ひとりの人間として接してくれたことがさ。 すごく救われたし、嬉しかったから。 (会いたい、よ…) こんな形で気付くなんて、ホント最悪だよ… でもさ、 「…ッ…!」 もう、誤魔化せそうにないや。 だってオレはこんなにも、 「セツ─────…!!」 お前のことが、愛おしくて仕方ないのだから。

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