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「私の所為で、お前をこんなに傷付けてしまった…」 「ちが、うっ…!」 どう否定してみても、ルーファスは悲痛に顔を歪めるばかり。 「お前はオレを、助けてくれたじゃんかっ…」 身体はメチャクチャ痛いし。 最悪の場合…殺されてたかもしれないって考えたら、すっごく怖くなった。 でも、お前がこうしてオレを見つけてくれて。 どうにかされる前に、救ってくれたんだから…。 「私は…セツに、呼ばれたのだ。」 ルーファスは告げる。 騒ぎの種…乱闘の仲裁から戻ってきたら、オレがいなくなってて。探してたところに突然、頭の中に直接オレの声が聞こえてきたんだっていうんだ。 それから声に導かれるようにして、此処へとやって来たら。オレがこんな事になっちゃってたって、わけで…。 「そ、か…」 もしかしたら、あの時の光りが関係してたりするんだろうか?よく見ると、まだ少し身体が光ってるし…。 「良かった…オレ心ん中で、ずっとお前のことを呼んでてさっ…」 ルーファスなら絶対に助けに来てくれるって、信じてたから。もしかしたらこれは、お前が起こしてくれた奇跡…なのかもしれない。 「もう、このまま二度とルーに会えなかっ、たらっ…」 どうしようって────…思い出したらまた、涙が溢れて止まらなくなってしまった。 ルーファスの前だと、なんでか涙腺脆くなるんだよな…オレ…。 「セツ…」 子どもみたく泣きじゃくるオレを、ルーファスは困惑したよう見つめてくる。 「ごめっ…お前見たら、安心しちゃっ、て…」 涙が止まんないよって、しがみついたら。 ルーファスは優しく、背中を擦ってくれた。 「泣かないでくれ、セツ…」 お前に泣かれたら、どうしていいか判らない… そうルーファスに懇願されるけれど。 一度外れてしまった(たが)は、そう易く戻りはしないのか。感情は…更に激しく、溢れ出てしまう。 「セツ…」 ルーファスも凄く戸惑ってるみたいで。 どうにかオレを落ち着かせようと、何か考えを巡らせていたのだけれど───… 「んっ…」 思い付いた末に、 ルーファスがオレに施したのは────キス…で。 それは、涙に濡れる瞼へと…与えられたものだったけど… 「るっ、あ…」 その大胆過ぎる行動は、見事に的を射て。 不意打ちを食らわされたオレは、幸いにもそのキスによって… ぴたりと、泣き止んでしまうのだった。

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