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⑬
「私の所為で、お前をこんなに傷付けてしまった…」
「ちが、うっ…!」
どう否定してみても、ルーファスは悲痛に顔を歪めるばかり。
「お前はオレを、助けてくれたじゃんかっ…」
身体はメチャクチャ痛いし。
最悪の場合…殺されてたかもしれないって考えたら、すっごく怖くなった。
でも、お前がこうしてオレを見つけてくれて。
どうにかされる前に、救ってくれたんだから…。
「私は…セツに、呼ばれたのだ。」
ルーファスは告げる。
騒ぎの種…乱闘の仲裁から戻ってきたら、オレがいなくなってて。探してたところに突然、頭の中に直接オレの声が聞こえてきたんだっていうんだ。
それから声に導かれるようにして、此処へとやって来たら。オレがこんな事になっちゃってたって、わけで…。
「そ、か…」
もしかしたら、あの時の光りが関係してたりするんだろうか?よく見ると、まだ少し身体が光ってるし…。
「良かった…オレ心ん中で、ずっとお前のことを呼んでてさっ…」
ルーファスなら絶対に助けに来てくれるって、信じてたから。もしかしたらこれは、お前が起こしてくれた奇跡…なのかもしれない。
「もう、このまま二度とルーに会えなかっ、たらっ…」
どうしようって────…思い出したらまた、涙が溢れて止まらなくなってしまった。
ルーファスの前だと、なんでか涙腺脆くなるんだよな…オレ…。
「セツ…」
子どもみたく泣きじゃくるオレを、ルーファスは困惑したよう見つめてくる。
「ごめっ…お前見たら、安心しちゃっ、て…」
涙が止まんないよって、しがみついたら。
ルーファスは優しく、背中を擦ってくれた。
「泣かないでくれ、セツ…」
お前に泣かれたら、どうしていいか判らない…
そうルーファスに懇願されるけれど。
一度外れてしまった箍 は、そう易く戻りはしないのか。感情は…更に激しく、溢れ出てしまう。
「セツ…」
ルーファスも凄く戸惑ってるみたいで。
どうにかオレを落ち着かせようと、何か考えを巡らせていたのだけれど───…
「んっ…」
思い付いた末に、
ルーファスがオレに施したのは────キス…で。
それは、涙に濡れる瞼へと…与えられたものだったけど…
「るっ、あ…」
その大胆過ぎる行動は、見事に的を射て。
不意打ちを食らわされたオレは、幸いにもそのキスによって…
ぴたりと、泣き止んでしまうのだった。
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