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②
歴史上…神子は今まで、女の子しか召喚されてこなかったという。
今回はたまたま、オレが男だったってだけで…
アイツのオレに対する物腰は、女性と接する感じそのものだ。
あんな風に優しくされると、それと解ってても勘違いしそうになる。
…ていうか、もう手遅れというか…好きになっちゃってんだけど、ね…。
「ン……」
だから今見てるこの夢も、オレにとって都合のいいものなんだろう。こうして触れられたいって欲が、リアルな夢を作り出して────
「────…って、夢じゃないいぃぃ!?」
ンギャ~ッ!!と色気のない悲鳴を上げ、勢いよく起き上がると…
「おはよう、セツ。」
何事もなかったよう、爽やかに挨拶をかます…
我が愛しの騎士様ルーファス様。
寝起き早々、思いがけぬ状況に気が動転して絶句するオレは。顔中真っ赤にさせながら、金魚の如く口をパクパクさせた。
「なっ…おま、」
なんでオレの部屋に────…って、そういえばコイツはずっと、こんな感じで毎朝起こしに来てくれてたんだっけ…。
「いくら呼んでも反応が無くてな…。昨日の怪我が、思わしくないのではと心配したんだが…」
そ、それは解ったけども!
オレが突っ込んでるのは、ソコじゃなくてだな…。
「ああ──…コレは、だな…」
恥ずかしい状況に言葉が見つからず、枕を掴んであわあわしていると。オレの言わんとすることに、ようやく気付いたルーファスは。口元を押さえ、何やらを思い返し苦笑する。
「眠っていたセツが、苦しげにうなされていたので…」
顔を覗き込めば、オレが泣いていたのだと告げるルーファス。
「起こそうか迷ってな…とりあえず落ち着かせようかと思って、頭を撫でてみたのだが…」
そうしているうちに、今度は寝惚けたオレがルーファスの膝に擦り寄ってきて。いわゆる膝枕なシチュエーションになってしまったのだ、と。
さすがに困惑したそうだが、そのおかげでオレも落ち着いてきたらしく。膝で眠る様が、とても穏やかだったものだから…
「起こすには惜しいくらい、愛らしい寝顔だっからな。」
「なっ…!」
ハイ出た出た~、ルーファスの必殺無自覚タラシ攻撃っっ!
それはものの見事にオレの心臓を、ムギュギュッと鷲掴み。直撃を食らわされたオレは、ぼふんと顔から火を放つ。
「もう、おまっ…ズルイだろソレっ…」
溢れそうになる感情を誤魔化すよう、大袈裟に喚き散らすと。それを拒絶と捉えたのか、ルーファスは途端に表情を曇らせて。
「嫌、だった…か?」
すまないと頭を下げ、しゅんとしてしまうルーファス。
相対するオレはもう、今すぐにでも本音をぶちまけたい衝動に負けちゃいそうで…正直いっぱいいっぱいだった。
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