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③
「そ、そうじゃなくてさっ…」
本音をゴクンと飲み込み、嫌じゃないよと弁解すれば。途端にぱあっと機嫌を良くするルーファス。
なんなのこの人?ホントは全部解っててやってんじゃないの、もう…
「人の気も知らないで…」
「ん?」
なんでもないよ!と誤魔化すオレ。
これも惚れた弱みというヤツなのか…ルーファスの行動に、いちいち感情的になってしまうから厄介だ。
コイツの性格は、出会った頃から理解してたハズなんだが…。
振り回される度に一喜一憂してしまうそれが、まるで恋する乙女みたいで。初めての感覚に惑わされるオレは、どうしても冷静ではいられないのである。
ほんと、調子狂うよなぁ…。
「怪我の具合は…どうだ?」
ベッドに腰を下ろしてるルーファスの隣に落ち着けば、上から顔を覗き込まれて。
「…思ったより、平気だよ。」
昨日の事に対し、かなり責任を感じでいるルーファスは。申し訳なさそうにオレを見ては、悲痛な表情を浮かべてしまう。
問われて自分でも、身体をざっと確認してはみたけれど。
あんな酷い目に遭 った割には、意外と怪我も大したことはなかったみたいで。
節々はまだ少し痛むものの…不思議なことに擦り傷とか軽いものなんかは、既に治りかけていた。
「そうか…ならば安心した。」
目を細め安堵するルーファスは、まだ傷の残る頬へと、手を添えてきて。
労るよう、ふんわりとだけ触れてくる。
昨夜は屋敷に戻るなり、揃ってヴィンセントに説教食らったからなぁ…。
自分が守ると言った手前もあったから、ルーファスってばメチャクチャ落ち込んでたっけ。
「まだ気にしてんの…?」
「お前を危険に晒したのは…私の責任だ。」
違う、あれはオレが自ら招いた事なんだからって。いくら言ってもコイツは、頑として譲らず。一時は『守護騎士を辞 する』…とまで、口走ってたっけ。
そこはヴィンセントとオレで、必死に説得して。
それでもルーファスは、頑なに受け入れようとはしなかったけれど…。
最終的にはオレが『お前が辞めるなら、オレも神子を辞める!』…なんて感じで押しの一手。コイツも渋々とはいえ、その場はなんとか納得してくれたから良かったが…
今更ルーファス以外の守護騎士だなんて、考えられないもんな…。
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