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「だってセツはとってもか弱いんだから!ボクらがちゃんと護ってあげなきゃ。」 「か弱いって、女の子じゃあるまいし…。」 まあ、こっちの世界の人なら一般市民でも逞しく生きてるだろうし?オレなんて多分この屋敷のメイドさんどころか、子どもなんかより貧弱なんじゃないかって思う時もあるけど。 てか実際この年下で小柄なロロにさえ、力では敵わなかったりするしな…。 「そうそう、ロロの言う通り。セツは僕達にとって、お姫様みたいな存在なんだからね~。」 「姫っつっても、いちおー男だけどな!」 いつの間にかやって来た、アシュレイとジーナも加わって。守護騎士がズラリ勢揃いする。 お姫様って、オレのこと言ったのか? しかも一応って… 「男だとか全然関係ないよ!セツはボクの神子様だもん!」 大好き~!とむぎゅむぎゅしてくるロロに、しょうがないなとニヤけながらもハグでお返しする。 女子向けの恋愛ゲームに、何故ロロみたいな可愛らしいキャラクターが攻略対象としているんだろう?…って、最初は謎でしかなかったんだけど。 こうしてみると、女の子の気持ちというか、母性本能を擽る的な?…ちょっと解っちゃうかも、なんてね。や…こんな可愛いのに懐かれたらさ、誰だって嫌な気しないもんなぁ。 …といっても、守られるのがオレの方ってのは複雑なとこだが…。 「ロロ…あまり抱き付くと、セツの怪我に障るから…」 「ああっ、そっかそっか!」 ロロの好意を無下には出来ず、ちょっと痛いのを我慢してハグし合ってたら。ルーファスが言いにくそうにしながらも、やんわりとロロを窘めてくれる。 言われてロロはごめんなさいって、すぐ離れていったけれど。 その様子を見ていたアシュレイが、ルーファスを横目に。何故だかニヤニヤし始めたもんだから───…んん? 「セツはロロでも押し倒せるぐらい、軟弱だかんなぁ!」 すかさずジーナが笑い飛ばし、場を和ませるのかと思いきや… 「ロロに、押し倒されたのか…?」 と、何故か鬼気迫る形相で問い詰めてくるルーファス。例えばの話だからと慌てて否定すれば、一応納得はしたみたいだけど…。 そんなやり取りを傍目にアシュレイは、とうとう口元を押さえだして。駄々漏れる笑いを、必死で堪えていた。 (ああ…でも、良かった…) こうして、ここにいられて。 襲われた時は、もうダメかもって覚悟したけど。 ルーファスが助けに来てくれたおかげで、無事でいられたから…。 まだ世界は何も救われてないし。 今後もあんな風に、身の危険に晒される可能性だって否定は出来ないんだけれど。 「どうしたんだい?なんだか嬉しそうな顔をして…」 無意識に顔を綻ばせてたら、アシュレイにそう問われて。 「ううん…なんでもないよ!」 オレは皆を一瞥したあと、照れ隠しに頭をクシャクシャと掻きながら。そう笑って誤魔化した。

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